Medical
医療
戦後発生した赤痢の大流行、
2003年 SARS(重症急性呼吸器症候群)、
2009年 新型インフルエンザ。
栄研化学は、「世界の人々の健康を守る」
という使命のもと、
都度襲いかかる、
さまざまな感染症への検査試薬を提供し、
医療従事者の皆様とともに、
その終息に向けて、尽力してまいりました。
そして、2020年 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行。
ウイルスという見えない恐怖は、
私達の暮らしと心に大きな影を落としました。
検査には、そうした自分ですら気づけない
見えない不安を取り除き、
もう一度、人々を前に向かせる力があると
私達は信じています。
まずは、少しでも早い新型コロナウイルスの終息に向けて、私達のできることを着実に。
そして、この苦難を乗り越え、
その先にも起こりうる感染症との闘いのために
検査試薬だけでなく、装置やデバイス開発で、
検査領域を進化させていくこと。
今、感染症と闘う世界の人々のため、
その先の未来のため。
COVID-19との闘いを超え、
私達は挑戦を続けていきます。
MESSAGE
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔み申し上げます。また、罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。
栄研化学は1939年に創立以来、感染症に対する細菌検査用試薬(培地)の開発を通じ、わが国の防疫と公衆衛生に貢献してまいりました。この度の新型コロナウイルスにおいては、当社独自技術である遺伝子増幅技術LAMP法による遺伝子検査試薬を3月時点で販売することができましたが、今後の感染の再拡大や長期化をにらみ、さらなる検査薬の需要に応えられるよう増産体制を構築し安定供給に努めております。また、感染症の拡大という観点では、開発や地球温暖化、グローバル化による人々の移動の増加等により、新型コロナウイルスだけでなく、海外から入ってくる様々な感染症を診断するため、遺伝子検査の重要性はさらに拡大していきます。栄研化学は、これからも臨床検査薬メーカーとしての責務を胸に、検査の力で安心して過ごせる社会を取り戻せるよう、医療従事者の皆様とともに新型コロナウイルスの終息に向けて、全力で取り組んでまいります。
ACTION FOR COVID-19
01
ACTION FOR COVID-19
新型コロナウイルスの感染を判断するためには、遺伝子内の特異的な核酸を増やしてウイルスの有無を判断することができる高感度な(少ないウイルスを検出することができる)遺伝子検査が有用とされています。栄研化学では独自に開発したLAMP(ランプ)法という技術により新型コロナウイルスの遺伝子検査を可能にしています。
LAMP 法は遺伝子(核酸)を増やすために開発された技術で、それまでの遺伝子検査の課題であった複雑な操作や判定までの時間の長さを解消し、より簡単に短時間で結果の得られる検査を実現しました。
現在では、その特長を活かして、医療、食品、環境、農業・畜産、植物といった幅広い分野で実応用されています。
中でも、LAMP法を用いた結核検査システム(TB-LAMP)は2016 年WHO(世界保健機関)に推奨*され、世界的に高く評価されています。特に、ソーラーパネルとバッテリーでも検査が可能なことから、電力インフラが未整備な開発途上国でも活用が進んでいます。
当社は、LAMP 法を用いた遺伝子検査を広く普及させ、人々の安心・安全に貢献できるよう日々取り組んでいます。
*The use of loop-mediated isothermal amplification (TB-LAMP) for the diagnosis of pulmonary tuberculosis : policy guidance(Authors:WHO)
など
など
など
※一般的には「PCR検査」と言われているがPCRは遺伝子を増やす方法の1つ
02
ACTION FOR COVID-19
栄研化学では早期に新型コロナウイルス検出試薬の開発に着手し、2020年3月18日に研究用試薬、4月10日に「Loopamp® 新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット」(体外診断用医薬品)を医療機関向けに発売いたしました。
この試薬キットは、鼻の奥の粘液や唾液の中の新型コロナウイルスの有無を1時間以内に判定することができます。
現在、月産50万テストの生産体制を整備し、安定供給を通じて同感染症対策への貢献に努めています。
03
ACTION FOR COVID-19
研究の
現場から
LAMP法を用いた検査試薬の開発を担当しました。開発当時、新型コロナウイルス感染症が拡大し大きな社会問題となっていました。そのため、とにかく迅速に製品を発売し、医療現場に届けることが求められました。通常、開発には1年ほどかかりますが、開発目標としては約1か月。研究員と一緒に実験を夜遅くまで何度も繰り返し、並行して、薬事申請、臨床検査薬協会との協議や行政との連携を進め、なんとか3月中での製品化を実現しました。今後も、感染症との闘いは続きます。『いま世界で何が起こっているのか』に注意を払う意識を持ち、同じような脅威がまた発生した際、今回以上に早く製品を提供するために社内外との連携を強め、備えていきたいと考えています。今後の試薬開発に向けてご要望がありましたらお聞かせください。より良い製品が提供できるよう努めていきます。
営業の
現場から
お客様への訪問・説明が本来の業務活動となりますが、コロナ禍では直接伺うことも難しく、電話・メールなど非接触ツールを活用し、少しでもお客様に役立つ適切な情報提供ができるよう取り組んできました。検査を行う上で検体の取り扱い・検査環境・法的解釈等のご質問にお答えするだけでなく、各御施設の検査環境構築アドバイスから遺伝子検査を行う上での注意点など、臨床検査のプロの視点からLAMP法が貢献できる情報提供に努めてきました。日々の報道で『LAMP』法と同じ遺伝子検査である『PCR』という言葉が一般認知されてきています。今後も、多くの方に検査という分野に関心をもっていただき、さらなる期待に応えられるよう、検査のパイオニアである企業の一員として今後とも自分のできる行動を続けていきたいと思います。
生産の
現場から
製造部、管理業務部、品質管理部が一体となり、検査試薬の生産計画立案から、原料の調達、生産、品質試験・検査の実施まで、いかにスピーディに新しい検査薬の生産体制を構築し、提供できるかに努めてきました。製造開始後は感染拡大を受けて、生産要求数字が倍以上に増加。特に原料の調達が間に合わない状況が発生し、原料供給元と何度も調整を行いながら、要求された数量の生産を確保できるよう尽力しました。また、製造ラインの増強のために、新たな設備を導入。協力先のメーカー様も優先して動いてくださり、迅速な導入に至りました。品質確保に向けた試験体制も合わせて増強が求められ、新たに検査要員を採用し、生産に間に合うように原料・資材試験対応を行い、現在に至っています。今後も、世界における人々の健康を守るため、タイムリーさと品質確保を両立し、お客様に安心して当社の製品を使っていただけるよう尽力していきたいです。
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ACTION FOR COVID-19
BEYOND COVID-19
TOPICS