Medical

医療課題の解決

医療の発展により治る病気が増え、世界中で長寿化が進む現代。いつまでも健康に過ごすため、予防医学や早期診断の重要性がますます高まり、その普及を通じた「医療課題の解決」が栄研グループにとって重要な課題です。生まれる前に行う婦人科検査や新生児に対する代謝異常検査、学童健診、そして、がん検診や生活習慣病検査など、当社グループの提供する検査薬は、人生において身近な場所に存在しています。当社グループは、臨床検査薬のパイオニアとして、先進の医療ニーズに応えられる製品·技術の開発、およびその普及を通じて、医療の発展と人々の健やかな暮らしの実現に貢献すると共に、新たな事業機会の獲得と持続的な成長を目指します。

製品・サービスを通じた医療課題の解決

世界の消化器がん早期発見への貢献/大腸がんスクリーニング検査・胃がんリスク層別化検査関連製品

栄研化学は、1987年に免疫法(ラテックス凝集法)を採用した便潜血検査用試薬、更に1989年に世界初の全自動便潜血用分析装置を発売しました。日本ではトップシェアを獲得し、さらに、その性能やノウハウが世界中で認められ、今では多くの先進国で大腸がんスクリーニングプログラムとして導入されています。がん検診の目的は、がんを早期に発見し、早期に治療を行うことで、がんによる死亡を減らすことです。定期的に便潜血検査を行うことにより、大腸がんを早期に発見でき、死亡率を下げることが可能であるとの科学的な根拠も示されています。大腸がんを早期の段階で発見して治療した場合、5年生存率は90%以上であり、治癒する可能性が高くなります。世界における便潜血検査は日本企業の技術が最も進んでおり、なかでも導入が進んでいる当社の試薬・装置を使用した大腸がんスクリーニングプログラムは、世界の大腸がんの早期発見に貢献しています。また、当社は、血液検査によってピロリ菌感染と胃粘膜の萎縮の状態を調べ、将来胃がんになりやすい状態かを判定する「胃がんリスク層別化検査」に用いられる試薬を取り扱っており、同検査の普及に国内外で取り組んでいます。

  2022年度 実績 2024年度 目標 2030年度 目標
大腸がんスクリーニング検査の
展開国数
44か国 49か国 57か国

先端技術開発とイノベーションの推進

グローバルにおける医療課題の解決に貢献していくためには、これまでの「臨床検査」の領域に固執せず、常に変化と進化を重ねていく必要があります。栄研グループは、医療の個別化に対応するコンパニオン診断薬の開発、プライマリケア領域に適したPOCTプラットフォームの開発、リスク診断薬やウェアラブル健康機器などの新たな領域への進出など、産官学連携によるオープンイノベーションで、世界の健康を支える新たな「検査」の在り方を追求していきます。2021年、アメリカのイルミナ社と契約し、イルミナ社の次世代シークエンサーである医療機器 MiSeq™Dx システムを用いた、コンパニオン診断システムの開発を進めています。今後もこのようなパートナーシップを含め、医療課題の解決に向け、積極的に取り組んでいきます。

新興・再興感染症への取りくみ

戦後発生した赤痢の大流行、2003年SARS(重症急性呼吸器症候群)、2009年 新型インフルエンザ。
栄研グループは、「世界の人々の健康を守る」という使命のもと、1939年に創立以来、都度襲いかかる、さまざまな感染症に対する検査用試薬の開発を通じ、医療従事者の皆様とともに、わが国の防疫と公衆衛生に貢献してまいりました。2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行においては、その培った技術と経験を元に、いち早く、当社独自技術である遺伝子増幅技術LAMP法による遺伝子検査試薬を開発·販売しました。また、多くの検査薬の需要に応えられるよう増産体制を構築し安定供給にも努めています。また、感染症の拡大という観点では、開発や地球温暖化、グローバル化による人々の移動の増加等により、新型コロナウイルスだけでなく、海外から入ってくる様々な感染症を診断するため、遺伝子検査の重要性は増しています。当社グループは、これからも臨床検査薬メーカーとしての責務を胸に、その先にも起こりうる感染症との闘いのために検査試薬だけでなく、装置やデバイス開発で、検査領域を進化させ検査の力で安心して過ごせる社会に貢献できるよう取り組んでまいります。

医学・公衆衛生の発展への寄与/情報の提供

学術情報誌「モダンメディア」を刊行

栄研化学は、1955年8月より、学術情報誌『モダンメディア』を毎月発行しています。本誌では、さまざまな視点から人々の健康にかかわる話題を取り上げ、専門の先生方による詳しくかつ分かりやすい解説を掲載しています。本誌は、全国の病院、大学医学部・薬学部・獣医学部などの各教室、国公私立研究所や食品・環境・福祉関係など、多岐にわたる専門領域の登録読者にご愛読いただいており、発行部数は5,500部に及びます。さらに、2004年からは、より多くの方と学術情報の共有ができるよう、冊子の記事と同一性を保持したWeb版を当社ホームページ上に掲載しています。2020年にはホームページをリニューアルし、より使いやすく、新たなコンテンツも加えて掲載しております。2022年7月には通巻800号を発行予定です。
これからも引き続き価値のある情報を提供していきます。

「モダンメディア」ロゴマークについて

本誌創刊から3年が経つ頃になると、全国から編集室にお便りが届くようになりました。そこで双方のふれあいの窓として、読者の声を紹介する「読者の欄(北から南から)」のコラムが誕生しました。ここに描かれていたのが、春になると日本列島を横断するツバメのイラストです。残念ながら現在はこのコラム欄はありませんが、読者の皆様同士の繋がりや編集室を結ぶ使者の象徴として、ツバメに込められたポリシーは継承されていることから、通巻500号を記念し、ロゴマークとしてデザインしました。ロゴマークのツバメがくわえている植物の種は、さまざまな情報や想いを表しており、辿り着いた先で芽を出し大きく育つ可能性を秘めていることを表現しています。

微生物検査に関わる書籍の販売

栄研化学は、臨床や食品の微生物検査に関連する書籍を販売しています。これから臨床検査技師を目指す学生のみなさん、ならびに臨床検査技師の先生方にご活用いただき、医療に関わる多くの方々の一助となるよう考えています。また、食品微生物検査に携わる皆様にも、基礎的な知識を盛り込み、日常の検査業務に役立ていただける書籍を販売しています。

食品微生物検査に従事者されている方を対象としたセミナーの開催/衛生検査セミナー

栄研化学は、食品微生物検査従事者の方を対象とした、検査に必要な基礎知識・技術・注意点等に関連するセミナーを開催しています。基礎編、中級編等さまざまな階層別に開催し、検査ご担当者や食品衛生に関係する皆様のお役に立ちたいと考えています。

研究への助成活動

公益財団法人黒住医学研究振興財団

栄研化学は、「公益財団法人黒住医学研究振興財団」の活動に賛同し、その活動を支援しています。本財団は、臨床検査、衛生検査及びこれに係る基礎医学に関する調査研究に対する助成及び研究実績に関する顕彰等の活動事業を行い、国民の健康と福祉の向上に貢献しています。

腎・泌尿器検査研究会への助成

腎・泌尿器科領域におけるより有用な尿検査(尿定性・尿沈渣)の確立を目的に設立された当研究会では、非侵襲的検査である尿検査の幅広い応用について、医師・臨床検査技師・臨床検査関係研究者が相互に知識の情報交換を行う活動をしています。栄研化学はこの活動に賛同し、協賛しています。

がん検診啓発活動

ブレイブサークル大腸がん撲滅キャンペーン

栄研化学は、特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会が行っている大腸がんに対する理解促進と早期発見のために検診の輪を広げていくという活動の趣旨に賛同し、サポートしています。本キャンペーンは、行政や法人、健康保険組合等の団体と連携しながら、様々な活動を通じて多くの方に大腸がん検診の大切さを呼びかけています。

ブレイブサークル大腸がん撲滅キャンペーン

がん対策推進企業アクション

栄研化学は、がん検診受診率向上を目指す国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」に、推進パートナー企業として参画しています。当活動は、企業が率先して「がん検診受診」の大切さを呼びかけることにより、受診率50%以上を目指しています。

がん対策推進企業アクション