2016年9月号(第62巻9号)

予防医学の未来を拓くツインリサーチ

大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
生体情報科学 教授
岩谷 良則

私たちは、平成21年4月に、ふたごの方を対象に研究を行うツインリサーチセンターを日本で最初に設置し、未来の医療や社会を切り開くための先導的な研究を行っています。今回この私たちの取り組みを紹介させていいただきます。
ツインリサーチは「ヒトに関わる様々な謎を解き明かすための究極の研究手法」で、特に「ヒトの疾病や行動、心理、性格などに影響を及ぼす環境因子及びそのゲノムへの影響の解明」に優れています。そしてこれらを解明すれば、疾病を予防し健全な社会環境を整えることが可能になります。
即ち、ツインリサーチは「健全で健康な長寿社会を築くための切り札」であり、ふたごの方は「人類にとってかけがえのない貴重な存在」なのです。
しかしツインリサーチには大きな難点があります。それは非常に手間暇がかかることです。そこで私達はこの大切なツインリサーチを効率よく実施できるように、平成23年4月より双生児研究の基盤を構築するプロジェクトを開始しました。それは、全国におられるふたごの方から様々な情報と生体試料をいただき、それらを匿名化して整理・保存し、いつでも利用できるようにするプロジェクトです。そして、このふたご検診では、一卵性か二卵性を正確に判定する検査と人間ドック並みの臨床検査も実施しており、結果はコメントをつけてお返ししています。
私たちは、多くのふたごの方にこの「人類の究極の夢を叶えるプロジェクト」に気づいていただき、ふたごの方にしかできない貢献を是非していただきたいと願っています。簡単なアンケート調査などいろんな形でご協力いただいていますが、まずはツインリサーチセンターにご登録いただき、できる範囲でご協力をいただくことをお願いしています。
「健全で健康な長寿社会を築く」ため、読者の皆様にもこの取り組みへのご理解・ご協力をいただければ大変幸甚です。

※大阪大学医学系研究科附属ツインリサーチセンター
https://www2.med.osaka-u.ac.jp/twin/