2016年9月号(第62巻9号)

旅先、街角のスナップ(9)

光芒

機材:LEICA M9-P
レンズ:Summilux-M 50mm/f1.4

今月の写真は、1月号でご紹介した七面山敬慎院へ至る参道(和光門~鐘楼)に降りそそぐ朝の光。この日は秋分の日で、富士山頂から朝日が昇るダイヤモンド富士を期待して前日から登詣していましたが、残念ながらご来光は拝めませんでした。しかしその後は雲が晴れ、下山時には木々の間から見事な光芒を捉えることができました。登山の疲れも吹き飛ぶ一瞬です。
光や陰など、自然現象は刻一刻と変化します。カメラが捉えるわずか1/500秒の間でも、次の瞬間にはまた違う光景が展開されることがあります。自分の考える決定的瞬間を捉えることができたかどうか。フィルム全盛期にはそれが現像されるまでわからず、心の中ではガッツポーズしていたのに自宅で見たら意気消沈、なんていうことが多々あったわけですが、今はデジタル全盛期。小さいモニターではありますがその都度確認ができるようになり、いい時代になりました。
ちなみに、今ライカには、デジタルカメラなのにわざわざ背面の液晶モニターを省いて、撮影した画像をパソコンなどに移さないと見られない、フィルムカメラと同じような機種(ライカM-D)がラインアップされています。機構が簡素になったはずなのになぜかとても高価なのですが、あの頃の緊張感やわくわく感が忘れられない、そんなあなたにオススメ(?)です。

写真とエッセイ  水地 大輔

<所属>
東京逓信病院 血液内科医長 医学博士

<略歴>
1994年 群馬大学医学部卒業、東京医科歯科大学第一内科入局
2004年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了
2005年 東京医科歯科大学血液内科助手
??? 同年10月より現職

<主な展示>
・個展
「ordinary days」神楽坂 キイトス茶房(2008年)
・主なグループ展
「水」渋谷 ギャラリールデコ(2014年)
「旅ライカ」渋谷 ギャラリールデコ(2015年)他