旅先、街角のスナップ（3）

今から十数年前、栃木県にある獨協医科大学病院に勤めていたことがあります。益子焼のことはなんとなく知っていましたが、毎年春秋に行われている陶器市を訪れたのはそのときが初めてでした。メインストリート（城内坂）の両脇にはたくさんの店が立ち並び、歩道からあふれるほどの大勢の人で賑わっていて、とてもわくわくしたことを覚えています。陶器のことは詳しくありませんでしたが、格式にとらわれない自由な形、色使いが新鮮で、若い作家さんが多いのも印象的でした。
その後東京に戻りしばらく足が遠のいていましたが、たまたま手に取った雑誌にうつわの特集があり、その中でいいなと思った作品が益子焼でした。その作家さんの作品を都内で実際に触れられるところはほとんどなかったのですが、一度気になると手にしてみたい、作家さんの人柄にふれてみたいと思ってしまう一途な性格が災いして（笑）、半日休暇が取れた3 月のある日、思い切って益子のアトリエにお伺いしてしまいました。今月の一枚はそのときのものです。
当時の作品は粉引のうつわが中心でした。やさしい白、柔らかく暖かみのある手触りがすばらしく、またどこの誰かもよくわからない突然やってきた（もちろん事前に連絡はしましたが…）人間にとても親切に応対していただいて、感動したことを今もよく覚えています。
益子の陶器市は、春はゴールデンウィーク、秋は11月初旬にそれぞれ開催されます（開催期間は毎年変わりますので、詳しくは陶器市のホームページをご覧ください）。素敵なうつわや作家さんとの出会いがあるかもしれません。楽しいですよ。