2018年12月号(第64巻12号)

〇この冬ほど、毎朝の天気予報を聞き漏らさないようにと気を配ることはない。3ヵ月もかかる季節のうつろいを数日で体験する、こんなことはこれまでに記憶がない。とはいえ、そうこうしているうちに12月もあと残りわずか。あたたかい日でひと息ついて日数を稼いでいるうちに、冬の季節もだいぶ進み少し得をした気分である。
〇あと数日もすれば、新しい年度となる。昔から厄年という考えがあって、主なところでは新年を迎え、数え年で男性は25歳、42歳、61歳、女性が19歳、33歳、37歳がこれに当たる。厄には前後1年間も含まれ、前厄では厄の前兆が現れ、後厄では厄が薄れていくが、どちらも注意が必要とされる。年齢は寺社や地域などによって、数え年、満年齢の二つの考えがあり、また年齢にも差異がみられる。平安時代にはすでに、男性の42歳は厄年という考えかたがあり、日本に根付いて久しいが、根拠のない迷信ともいわれている。また一方で、体の節目で注意が必要な年齢という意見もある。
「厄」という字は、崖の下でひざまずく人を示す象形文字であるという説、また木の節を現しているという説などがある。崖を前にどうしてよいのかわからない状況、または木を細工する際に節があると細工が困難になることなどから、災難や苦しさを表す意味になったといわれている。
「厄年」のほかに、決まって災難が訪れる「厄日」もあるとされ、さらに、なんでもない日常にも「厄介」なことがたくさん起こる。なんだか毎日が怖くなってしまうけれど、古くから「歩く足には棒当たる」という諺があって、外に出れば災いにあうことも多いけれど、その反面良いことにもあえる。何かを恐れて何もしなければ何も生まれない、と教えてくれている。油断をしてはいけないが、何事も動きを起こすことが大切、来年も皆様のますますのご活躍をお祈りしております。
どうぞ良い新年をお迎えください。
〇末筆ではございますが、皆様のあたたかいご支援のおかげで、本年5月号を以って、本誌が通巻750号を迎えられましたことに、あらためて心より御礼申し上げます。

(大森圭子)