2018年12月号(第64巻12号)

断捨離

広島大学名誉教授
神辺 眞之

「今年の目標は断捨離でいきましょう」正月早々、妻からの提案。
「えっ、断捨離?」聞いたこともない言葉なので、早速インターネットで調べてみた。「断捨離とは物を捨てて、生活を調和する思想」とあった。
若い頃、指導教官から「研究の第一歩は、研究データーや資料の整理整頓にあり」と教わっていたので、整理整頓と拡大解釈して、「断捨離」を実行した。
すると、何処に仕舞っていたのか、続々とWASPaLM(世界臨床病理検査学会)に出席した写真が出てきた。
大変お世話になった今は亡き先生方と御一緒した写真に懐かしく見入ってしまい、断捨離を中止し、アルバムブックを数冊買ってきて写真を丁寧に整理整頓する作業に没頭した。
私は、自動車運転免許の更新に認知症テストを受けなければならない年齢になってしまったので、認知症予防のために、WASPaLMや国際学会でいった外国や外国都市の名前と数を思い出してみた。
驚いた事に、行った外国がちょうど30ヶ国、外国都市がちょうど述べ100都市もあった。
いろいろな異文化に触れ、感動もしたが、ノーベル賞第1回生理学賞の受賞者のエミール・フォン・ベーリング博士の執務室やキュリー夫妻の研究室を実際に経験。
ノーベル平和賞を受賞したPugwash会議のポーランド代表のサイパネテックス(制御学)の大家の物理学者の研究会に開会講演者として招待された時の感動を写真を見ながら思い出しました。
「英語力」があれば、著明な学者の方々との交流がもっとあったのにと反省し、「??才の手習」とばかりの英会話の自学自習を始め、積極的に外国人と話してみると、「礼儀作法は違っても喜怒哀楽は同じなんだなぁ」と最近分かったような気がしています。