2017年12月号(第63巻12号)

〇ひび割れた雲の合間からうっすらと白い太陽が覗いている。寒々しい冬の朝、それでも皆、自分に課せられた役割を大切に抱えながら、目的地へと向かう気持ちはぬくもりに満ちている。
沢山の雲をくぐり抜けて飛び続ける飛行機のように、難事の間に間に青空を見て、一息ついてはまた歩みを進める日々。気がつけば今年に残された時間はあとわずか、ここ一番の頑張りどきとなった。
〇「頑張る」という言葉は江戸時代から使われていたそうで、見張る・目をつけるなどの意味を持つ「眼張る」を語源とする説、また、自分を押し通そうとする「我を張る」を語源とする説がある。「頑な」「頑固」、「欲を張る」「肩を張る」などにも使われている文字が当てられていることからも、あまりよい意味で使われていたとは思えない。恐らく使われる場面の様々な状況のイメージから「自分の考えを強く主張する」、「ひとところにいつまでも居座る」などの元々の意味に加えて、「精一杯努力する」という現在の良い意味が加わっていったものと思う。
年末は誰しも、できるだけのことを終わらせて新年を迎えたい気持ちになりますが、どうかお正月休みにお疲れがでませんよう、頑張り過ぎにご注意ください。
〇読者ファンの方には残念なお知らせとなりますが、2年もの長きにわたりご担当いただいた、水地大輔先生の表紙シリーズ「旅先、街角のスナップ」は今回で最終回となりました。毎号、味わい深い写真と心温まるエッセイで、色々な場所に心を運んでいってくださり、人や、ややもすると見逃してしまいそうな自然の優しさにも気づかせてくださった水地先生に深く感謝申し上げます。
〇初代編集委員会の先生方が社会に役立つようにと誕生させた本誌も、本号をもって、無事63年目の発行を終えることができました。これまでも皆さまのお力に支えられ、育まれてきましたように、今年もまた「モダンメディア」という器に、人々の健康と、笑顔溢れる社会を願う沢山の思いが注がれました。記事をご執筆いただいた先生方、読者の皆様、編集委員会の歴代の先生方、本誌の製作に係る皆様に心より御礼申し上げます。
来年も編集室一同、力を尽くしてまいりますので、変わらぬご支援をお願い申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。

(大森圭子)