2015年11月号(第61巻11号)

〇北国からは雪の便りも届き、東京でも厚手のコートを羽織っている人が珍しくなくなっている。
気づけば今年もあとひと月あまり。過ぎた日を振り返り、満足できる人は幸せであるが、何かやり残していたことがある人は慌てて軌道修正を試みたり、やる気のつまみを最大にあわせるような時期でもあると思う。
〇「もし自分が間違っていたと素直に認める勇気があるなら、災いを転じて福となすことができる」
これは米国の著述家デール・カーネギーの言葉である。
心理学を学んでいる友人は、何かに思い悩む人にはまず「過去と他人は変えられない」ことを伝え、人生を変えるには過去を振り返らず自分が変わるように促すのだと話していた。なるほど、前向きで希望が湧いてくる素晴らしい教えであるし、結果的には、対人スキルに精通したカーネギーの基本的な考えにあるように、あるいは有名なイソップの寓話「北風と太陽」のお話にもあるように、自分が他人への行動を変えることによって他人の行動も変えることができる、という期待ももてそうである。
たまには自分のあら探しをして、間違っていたとはいわないまでも、些細なことでも改善できるような点があれば、これをあらためるだけで2015年を今よりも素晴らしい一年に仕上げることができそうである。

(大森圭子)