2013年12月号(第59巻12号)

〇先日、以前、本誌編集を担当していたK氏から面白い本をお借りした。タイトルは「人生はニャンとかなる!明日に幸福を招く68の方法」(水野敬也、長沼直樹著(株)文響社発行)。その名から察するに容易い種々のユニークな表情を見せる猫たちの写真を軸に、人生にちょっと行き詰まった気持ちをすっと救ってくれるような偉人たちのエピソードや格言が惜しみなく盛り込まれている。その中の格言の一つ、18世紀のドイツで、詩人、思想家などとして活躍したレッシングの言葉「自分の経験は、どんなに小さくても、百万の他人のした経験よりも価値ある財産である」を見つけた。
今年の元日に通りすがりの獅子舞の一座に声をかけられ、初めて玄関先に招き入れた。今年はきっと何か良いことがあるぞ、と期待で胸を膨らませ始まった1年も残すところあと僅か。やはり今年もなんということのない一年だったけれど、楽しかったり悲しかったり、笑ったり怒ったりくよくよ悩んだりと適度に揉まれながら、やがて必ずや心を豊かにしてくれる出来ごとと共に日々を歩めて何よりであった。
また、2000~2001年の本誌表紙を美しい植物画で飾ってくださった小宮和加子先生が11年振りに画文集を出されるというので、仕事を終えた後に編集現場に駆けつけ、僅かながらも作業に携われたことも良き心の糧となった。
〇さて、本誌表紙シリーズでは長らく、2年ごとに画と写真を交代で掲載しておりますが、昨年1月号より、美しい景色を繊細なタッチでさらに魅力的に描いた風景画と、魚や花などをモチーフにした立体画、そしてエッセイをご提供いただいた鈴木孝行先生のシリーズが本号をもってまる2年を迎え終了となります。鈴木先生には2年間お世話になり有難うございました。
〇また、本号から2つの新しい連載を開始しました。
一つは、竹田美文先生の「明治・大正・昭和の細菌学者達」です。紺野昌俊先生に連載していただいた「臨床微生物学の「礎」を築いた人々」が本年5月号までで掲載終了となりましたが、このたび竹田先生には、明治・大正・昭和に活躍したわが国の感染症学者たちの研究の足跡をご解説いただけることになりました。
またもう一つは、ご好評をいただいた加藤茂孝先生の「人類と感染症との戦い」の続編です。前回のご執筆の後、本誌記事を基に書き改められた丸善出版(株)からの「人類と感染症の歴史?未知なる恐怖を超えて?」の発行を挟んで、また新たな感染症について本誌にご執筆いただけることになりました。
竹田先生、加藤先生どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇今年も本誌にあたたかいご支援をたまわり、誠に有難うございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。

(大森圭子)