2009年1月号(第55巻1号)

〇冬の風物詩・日本の雪だるまに対して欧米にはスノーマンがある。この二つは一見同じように見えるのだが、実は大きな違いがある。日本の雪だるまはその名のとおり達磨に似せたもの、欧米のスノーマンのほうは人に似せたものなのである。その証拠に、雪だるまは頭と胴体の2つの雪の球から成りずんぐりむっくりの形をしているが、スノーマンは頭、胴体と足を模す3つの雪の球から成りスマートな形をしている。雪だるまに腕はないが、スノーマンのほうは腕に見立てて木の枝を刺してあったり、マフラーが巻かれているのも納得である。最近は雪だるまとスノーマンを合体させたような雪だるまも見られるが。
インターネットを見ていたら、北海道からの雪だるまの通信販売をみつけた。雪だるま型のパックに詰められた雪(本体)を取り出し、目や鼻のパーツを付けると完成というもの。雪の降らない九州や沖縄でも冷凍の宅配便で運べ、受け取り可能とある。目を付けられた途端南の国に居るのでは、雪だるまのほうはさぞや驚くに違いない。
〇暖冬で、東京ではまとまった雪が降っていない。したがって、雪が降ると近所のあちこちで見られるユニークな雪だるま達にもまだ一度もお目にかかっていない。
ラフカディオ・ハーンの『雪女』のモデルとなった雪女伝説の地は東京都調布村(現・青梅市)という話だが、東京では現在はまとまった雪などめったにお目にかかれない。たった100年の間にも気象は大きく変わってしまったのか。この先の100年を考えると背筋が寒くなる思いである。
〇昨年も本誌にあたたかいご支援をたまわり、誠に有り難うございました。今年も編集室一同一層の努力をいたしてまいります。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

(大森圭子)