2008年1月号(第54巻1号)

〇あけましておめでとうございます。昨年も本誌にあたたかいご支援をたまわり、誠に有り難うございました。今年も編集室一同一層の努力をいたしてまいります。なにとぞ本年もよろしくお願い申し上げます。

〇お正月には、神社・仏閣にお参りに行かれる方が多いことと思う。背筋を伸ばし一年の無病息災を祈念すると、神やご先祖のご加護を感じ、すがすがしい気持ちになれる。そして緊張感が解けてほっとした後に楽しみになるのが、おみくじである。ひらひらと揺れる真っ白なおみくじの群れに招かれ、自分はどんな1年を過ごすのか、期待半分怖さ半分に今年の吉凶を占ってみたくなる。

〇占いの種類はさまざまあるが、遡って『魏志倭人伝』には、骨や亀の甲羅を焼き、出来た割れ目で兆しをよむ「占い」のことが記されている。“うらない”という意味の文字は「卜」やこれの下に口と書いて「占」、または「卜占」などと書き表すが、「卜」は骨や甲羅に生じたひび割れの象形文字だそうである。占いは、古代から国のまつりごとに関して神のご意思をうかがう目的で行われており、現在のように個人の吉凶をも占うようになったのは鎌倉時代からである。室町幕府の第6代将軍・足利義教は、兄弟のなかからくじ引きで選ばれ、そのせいで「くじ引き将軍」と呼ばれた。義教が恐怖政治を行ったのは、この呼び名に義教が憤慨したからとも、義教をくじにて選出し、信頼の厚い満済という僧侶が卜占により陰で義教を操っていたからともいわれている。

〇“うらない”という言葉は、心のうちがわを示す「うら」という言葉を語源とし、「占」に「見」と書くと「覘(のぞく)」と読む。一方、「おみくじ」の語源は、「くじ」に「お」や「み」の尊敬を表す接頭語を加えたもので、「くじ」は串状のものを使うことから「串」を語源とするとか、入れ物の中を「くじる(かき回す)」ことや「公事(くじ)」を語源とするともいわれている。

〇吉と出ればその気になり、凶と出れば注意をせよということだ、と割り切って、ようやく隙間をみつけておみくじを結びつける。凶が出た場合には、利き手を反対にして結びつけると困難を制覇したことになり、凶が吉になるとか。おみくじを結びつけるのは縁結びを祈念してのことのようだが、一旦おみくじを手にしたら、とにかく結びつけないと気がすまない。内心、各項の説明の記憶が薄れ、もう一度開いて見たい気持ちはヤマヤマなのだが。

(大森圭子)