2005年8月号(第51巻8号)

〇本号から新しく『全国衛生研究所見聞記』の掲載が始まりました。読者の方のなかには,名前を聞いて,「おや,なにか懐かしいような・・・」と不思議に感じられる方もいらっしゃることと思います。それもそのはず,本誌記事の中でも三代先生がふれておられますが,実は本シリーズは初代の編集委員の先生方によって企画・連載された『全国衛生研究所見聞記』を現代に置き換えたものです。元来のシリーズは,訪問子である初代編集委員の先生方に当時の編集人である大塚氏が同行し,全国を行脚して,各地の衛生研究所の方に取材を行い,研究内容,地域性,設備の特徴などについて紹介記事をまとめたものでした。内容の濃さはもとより大変筆の立つ先生方の特徴のある文体の面白さが大いに功を奏して,1959~1967年の9年間にわたり掲載され,当時,大変好評を博しておりました。

昨年8月に本誌が創刊50年を迎えることを機に,過去に掲載された記事を見直しましたところ,このシリーズがいまもなお大変興味深く,長い年月を経てとても貴重な記録として残されていることから,初代の先生方の意志を引き継ぎ,同様のスタイルで取材を行い,『新版 全国衛生研究所見聞記』を開始することになりました。また,あらたに執筆のスタイルでの施設の紹介や見聞記に加えて施設の概要紹介の記事などを掲載することにしています。

前回のシリーズから四十余年もの歳月が過ぎ,世の中も移り変わり,約10年の任期で交替される編集委員も5代目となりましたように,長い年月の間に全国の衛生研究所もだいぶ様変わりしたものと思われます。現在,其々の衛生研究所で日々検査・研究に取り組んでおられる所員の皆様の熱意とそれぞれのご施設の特長をできるだけご紹介できるよう,頑張ってまいりたいと思っております。

〇本シリーズを始めるにあたり,全国の衛生研究所の皆様にはアンケートにご協力をたまわり,ご施設への取材あるいは紹介記事のご執筆等をご了解いただきまして誠に有難うございました。何かとお手数をおかけいたしますが,本シリーズの趣意をご理解いただきまして,ご協力いただきますようお願いいたします。また,第一回目の取材でご登場いただいた神奈川県衛生研究所の今井光信所長,企画情報部の森康明部長には,約1年半前から本シリーズの構成,進め方等あらゆる面でご指導をいただいておりますこと,東芝病院研究部の三代俊治先生には,楽しいうえにそつがない素晴らしい取材と大変魅力的な見聞記をご執筆いただき,またいつも斬新なアイディアをいただいておりますことに深く感謝申し上げます。また,初代の編集委員であり,『全国衛生研究所見聞記』の訪問子である,桑原章吾先生,小張一峰先生,佐々木正五先生,中谷林太郎先生には当時のご様子を詳しくお教え頂き,新たなるご提案・ご助言をいただきましたことに厚く御礼申し上げます。息の長いシリーズになりますため,今後,本シリーズを通じて,多くの皆様にご協力をお願い申し上げることになるかと存じますが,その節はなにとぞご支援くださいますようお願い申し上げます。

(大森圭子)