2005年8月号(第51巻8号)

チーム医療の土台は学生時代に

筑波大学人間総合科学研究科/基礎医学系(看護・医療科学類担当) 浦山 修

全国の国立大学の医療技術短期大学部20校は、2003年までに、すべて4年制の“大学保健学科”に移行した。筑波大学では、2002年10月、看護・医療科学類が発足、新しいコメディカルの教育がスタートした。医療科学主専攻では、単に臨床検査技師の育成に留まることなく、医科学の実践を念頭においたカリキュラムのもとで、 医学・医療の各分野で、研究・開発にも携わるような人材の育成に力を入れている。

カリキュラムでは、看護学主専攻さらに医学類の学生との合同授業「ケア・コロキウム」が4年次に予定されている。この授業は、1人の患者さんを3者が多方面から検討しながらともに学習するもので、4年制化に伴い、開設された。

医療の現場では、これまで医師(メディカル)を頂点とする縦の関係が重視されてきた。教育の方も、これまで医師や臨床検査技師や看護師どれをとっても、それぞれ別仕立てで行なわれてきた。卒業後はそのまま縦の関係の中に組み込まれ、お互いにプロフェッション(としての質)の理解が十分とはいえない状況にある。そこに、大学時代、ある一定時間机を並べてともに学習する、横の関係を考慮した新しい教育形態が誕生した。他大学でも、チームワークによる地域医療の展開を想定したケア学習などが始まっている。

今、盛んにチーム医療の必要性が叫ばれている。今後、患者さん中心の医療を実現するために、専門職同士の関係はますます重要となる。それぞれの専門職が、学生時代に切磋琢磨し、互いを尊重し相手の理解が進んでいれば、将来の医療の現場ではメディカルとコメディカルの間そしてコメディカル同士の間の垣根が低くなり、それぞれの実力者とその構成チームによって、わが国の医療の質が向上することは間違いがない。