2004年12月号(第50巻12号)

〇クリスマスが近づくと,さまざまな趣向を凝らしたイルミネーションが町のあちこちで輝くようになる。流行に疎い私だが,先日好機到来し,六本木ヒルズ・けやき坂通りのイルミネーションを見ることができた。400メートルにわたるけやきなど63本の並木は青と白の発光ダイオード(LED)で飾られ,聖夜を迎えるにふさわしく,清らかで美しい光を放っていた。

LEDはレンズで光を集め,一定方向に光を送り出している。試しに灯りのひとつをつまんで覗きこんだところ,ちょうど真正面に向きあったところで思いの外まばゆい光が目を貫いた。木々の灯りがきらきらとまたたくように見えるのはこのせいか。凍り始めた空気のなか,美しく冴えわたる空にも星たちがちらちらとまたたいて,静かなる年の暮れである。

〇(財)日本漢字能力検定協会では,今年一年の世相を表した漢字一字を公募し,毎年,一位に選ばれた漢字の発表を行っている。相次ぐ台風の上陸や新潟中越地震など,記録的な天災による被害が多かった今年は「災」に決定したそうだ。1995年から2003年までの漢字を振り返ると「震」,「食」,「倒」,「毒」,「末」,「金」,「戦」,「帰」,「虎」だそうで,明るい話題よりも世相の暗い面を反映したものが多い。どうか来年は明るい一年となりますように。

〇本年も『モダンメディア』をご支援いただき,誠にありがとうございました。おかげさまにて本年分12号を無事発行することができました。私の一年を振り返りますと,毎年,「学」という漢字が浮かびます。本誌の発行を通じ,さまざまな方々との出会い,触れ合いのなかから大切なことを日々学ばせていただいております。ここに,心からの感謝の気持ちを込め,皆様がお元気で良い新年をむかえられることをお祈りして,本年のモダンメディアを締めくくりたいと思います。

(大森圭子)