2004年12月号(第50巻12号)

山のスケッチ

八ヶ岳遠望

ペン+水彩(23.8 × 19.1cm)

八ヶ岳(やつがたけ)は主峰赤岳を中心に30kmにわたって南北に連なる山脈である。

八ヶ岳の良さは,その広大な裾野にあると思う。山頂付近には険しい岩稜もあるが,やはりスケールが小さい。苔の美しい森の中に湖の点在する北八ッや,明るい草原と落葉松の林がどこまでも立ちつづく南八ッの高原を逍遥するのが好ましいと思うのは,私の体力がおとろえたせいばかりではないだろう。

初冬の霧ヶ峰から遠望すると,一層その裾野の広さが良くわかる。行き交う雲がその広野に濃い陰影をおとし,陽のあたった明るい冬枯れの丘の色との対比が美しい。

中央が赤岳と阿弥陀岳である。

スケッチとエッセイ 武田 幹男

昭和7年生まれ
薬学博士元・田辺製薬株式会社 有機化学研究所長 常務取締役
※絵の略歴 定年退職後、 水彩スケッチを始める
山と渓谷社「山のスケッチコンテスト」準特選入賞
2002年、個展を開催 楽風会 所属
※山の略歴 元・関西山岳会会員
現在はネパール・ヒマラヤのトレッキングなどを楽しむ