2024年9月号(第70巻9号)

 みなさん、こんにちは。
 9 月に入りましたが、お元気にお過ごしでしょうか。まだまだ暑い日が続いていますので、早く秋の気配を感じたい今日この頃です。
 さて、8 月初旬からお盆休みも併せて2 週間ほど休暇をいただき、数年ぶりにヨーロッパを旅してきました。パートナーの出張に合流し、イタリア、ポルトガル、スペインを巡りました。ローマでは、トレビの泉、スペイン広場などやはり観光客で溢れていましたが、スペイン広場は階段に座るのが禁止されたようで写真撮影がしやすくなっていました。スペイン広場付近には、先日まで上野の東京都美術館で開催していたデ・キリコの居住地兼美術館があるということで行ってみたかったのですが、残念ながら美術品の多くが日本に貸し出されているためか休館でした。ローマ市内にあるヴァチカン市国のヴァチカン美術館では多くの作品を見ることができましたが、部屋によっては冷房がなく、観光客で溢れる中での鑑賞は体力勝負でした。印象的だったのは、4 つの部屋の壁をフレスコ画で描いた「ラファエロの間」のうちのひとつ「アテナイの学堂」で、プラトン、アリストテレスをはじめ様々な哲学者が描かれているのですが、未だに描かれた人物については定まっていないようです。もうひとつは、やはりシスティーナ礼拝堂で、ヴァチカン宮殿の中の礼拝堂になり、ローマ教皇を選出するコンクラーヴェが開催される場所として広く知られています。ミケランジェロによる天井画は圧巻であり、その中でも祭壇壁の「最後の審判」は見るべき傑作のひとつと思いました。
 ローマ、ヴァチカン市国を後にし、次にフィレンツェを訪れました。フィレンツェは、初めて訪れる都市で、ローマとはまた違った雰囲気があります。街歩きをしていると、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が突然目の前に出現して驚きました。ドゥオーモ(大聖堂)の頂上クーポラまで数百段の階段を登ると、TVやガイドブックで見たオレンジ色の屋根の建物が眼下に広がり、街の教会の鐘が鳴り響いていました。頂上から見たフィレンツェの街並みは素晴らしかったです。ウフィツィ美術館では、簡潔な音声ガイドの案内のもと、見るべきアート作品をすべて鑑賞し、再びドゥオーモに戻ってきました。ドゥオーモを中心とした飲食店やお土産屋が並ぶ広場で写真を撮り、歩くとふとバックパックが軽くなったことに気づきました。まさかと思うと、財布だけ抜き取られており、やられた!と思いました。幸い近くのワインショップに日本人の店員さんがいて、警察署を教えていただき、盗難証明書を作成することができました。店員さんの話によると、広場周辺には現金が抜き取られた財布が周辺に捨ててあるようです。諦めきれずゴミ箱を探しましたが見つからず、現金は少なかったものの、免許証や保険証、クレジットカードがなくなり大変でした。これまで海外で被害にあったことがないだけに驚きでしたが、観光地でのバックパックは前にかけるのをすっかり忘れていました。失意の中でしたが、ホテルの方に教えてもらったTボーンステーキのフィレ肉がとても美味しく、次なるポルトガルへ向けて気を取り直すことにしました。(次号へ続く)

(美濃部 さやか)