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2024年9月号(第70巻9号)
時は昭和12年3 月14 日付某新聞の朝刊。「恐ろしい。これはほんとうの話か?」と言われそうな記事が多くの読者の目に止まった。見出しは大きく5段抜きで言う「ナゾの人骨100 体。戦死者の標本か」と。その第1 段目にはゴシック体の大文字が力強く踊っている。さらに小文字は「見付かった場所は新宿区戸山町の旧陸軍医学校の敷地。ここから大量の頭がい骨が見つかり論議を呼んだのだ。かくて人骨ミステリーの真相の一端が見えはじめた」と。そこで時の厚労省は人骨の科学的な鑑定を専門家に依頼したところモンゴロイド系の人種が混在しており、日本人とは異質の人種と見られ、人骨にはドリルを用いての細工の跡もあるというのだ。 厚労省は当校を卆業した人びとも調査し、生存している293 人にも聞いたらしいが、ある人は「戦死体から主に頭部戦傷例を選んで持帰り標本にしたのではないか」と言う返事もあったといゆうがいずれも「自信はなさそうだった」と述べている。
では最終的に時の厚労省はどうしたのかということになるが、ここにはっきりした報告書がある。この報告書は平成13年6 月14 日付。第1 の見出しは「厚生労働省記者会見用の報告と今後の方針」照会先は厚生労働省大臣官房厚生科学課という文書だ。
報告書の内容を簡単に紹介すれば、 ①土中から62人の人骨発見、 ②警視庁の調査で犯罪性はない。③調査は平成4年から始め平成13年までの10年間に368 人から聞き取り調査等を行った。その結果④人骨は学校が標本として保存しておいたものを埋めた。 ⑤標本の大部分は戦災で焼失したが、残っているものまで埋めた。 ⑥なかには戦場から持ち帰ったものも含まれており、明治以来のものもあったなどでどうやら他で話題になった例の731 部隊とも関係がありそうだがこれ以降はわからない。