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2024年6月号(第70巻6号)
みなさん、こんにちは。
6月に入りましたが、関東はまだ梅雨に入っておらず、台風1 号の発生も今年は遅くなりました。梅雨の時期は鬱陶しく、外に出かけるのも億劫になりますが、この雨が私たちに必要な農作物の収穫につながっていると思うと、恵みの雨に感謝です。
さて、環境の話につなげて、毎年6 月5日は世界環境デー (World Environment Day)です。昨年もこちらのコーナーで触れましたが、1973年に国連総会にて制定されて以来、環境に関する最大の国際デーとして国連環境計画 (UNEP) が主導しています。世界中の政府、企業、市民社会、学校から何百万人もの人々が毎年参加し、地球の未来を守るために環境問題の解決や保護について考え・行動する日です。
2024年のテーマは「Our Land. Our Future We are #GenerationRestoration」(私たちの土地、私たちの未来。私たちは # 再生の世代)で、土地の回復、砂漠化の阻止、干ばつへの耐性の構築に焦点を当てています。UN environment programmeによると、世界の土地の最大40%がすでに劣化しており、世界で約32億人が砂漠化によって悪影響を受けていると言われています。さらに、2050 年までに世界人口の4 分の3 以上が干ばつの影響を受けると予想されているようです。
土地の砂漠化は、日本に住む私たちの日常とあまりなじみのないものと思ってしまいますが、砂漠化の原因は何でしょうか。砂漠化とは土地の劣化の一種であり、すでに比較的乾燥している土地がますます乾燥し、生産性の高い土壌が劣化し、水域、生物多様性、植生が失われることであります。これらは気候変動、森林伐採、過放牧、持続不可能な農法など、さまざまな要因によって引き起こされます。そして砂漠化が進むことで、近年の世界の各地での気温上昇と雨の多さの一因となっています。
一方で、砂漠化を緩和するアプローチも多種多様にあり、世界中で多くのプログラムが進行しています。ウズベキスタンでは再緑地化プログラムにより、アラル砂漠沿いの100万ヘクタール(東京都の広さがおよそ22万ヘクタール)に樹木や低木が植えられました。アフリカ連合は2007 年に立ち上げた「グレート・グリーン・ウォール」により、荒廃した1 億ヘクタールの土地に植物を復活させることを目指しています。アフリカの22 カ国が参加するこの牽引は、土地を復活させ、2030年までに2 億2,000万トン以上の炭素を貯蔵し、1,000万人の雇用を創出する予定です。
その他、アグロフォレストリー(森林農法)からサステナブルな放牧まで、あらゆるサステナブルな土地管理手法を導入することや、雨水利用、点滴灌漑、干ばつに強い作物の植え付けなどの水管理により、水不足の影響に対処することができるということです。
テーマに関連した文章にて、過ぎてしまった時間は取り戻せないけれど、私たちは再び森を育て、水資源を復活させ、豊かな土壌を取り戻すことができます。私たちは平和と土地を築くことができる世代として、取り組んでいくことが我々に課せられた使命だと思います。