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2024年5月号(第70巻5号)
みなさん、こんにちは。
5 月の大型連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。カレンダー通りに働かれた方も多くいらっしゃると思いますが、数日の間、日常から少し離れてゆっくりと過ごすことができていればと思います。
さて、以前こちらのコーナーに書かせていただきましたが、お茶のお稽古を再開したことや江戸千家についてご紹介しました。新型コロナウイルス感染症もあり、春の茶会(江戸千家東京不白会)もしばらく開催されておりませんでしたが、先月3年ぶりに参加してまいりました。場所は東京都文京区にある護国寺で、桜が満開の中、少し汗ばむ陽気での茶会となりました。一席目は先生とお茶を一緒に習っている方達と一緒に「牡丹の間」の茶席に入りました。お茶を点てていた亭主は中学生の女の子で、半東(はんとう、亭主の補助役をつとめる者のこと)は父親が務めており、親子で習っているとのことでした。時折先生に指導を受けながらも、お点前は滞りなく進み、親子で習い事ができるのは素敵なことだと思いました。二席目は「艸雷庵」の茶席に入ることにし、艸雷庵は貴重なお道具を使用しているため、先生がぜひ拝見したいとのことで、待ち時間を覚悟して並びました。一席が5 ~ 6 名しか入れないため、何と茶席に入れたのは3時間ほど待った午後になりました。寄付きではお道具屋さんより飾ってあるお道具を解説いただき、古いものは白鳳時代の物からあり、すべてのものがとても貴重なものであることが分かりました。しかし一番のお道具は、会記に紹介された茶器の嵯峨棗です。紹介によれば嵯峨棗は茶の湯を好む人たちの間でひときわ人気が高く、大名蒔絵や名工と言われる蒔絵師の技巧を誇示した仕事とは全く異なるもので、漆も蒔絵も簡略で量産品の漆器ではありながらも品格を備えた、洗練された都の文化の高さが認められるものということです。茶会ではそのような貴重な茶器を手に取り、眺めることができるのも楽しみのひとつです。
そして楽しみと言えば、やはり抹茶といただく御菓子でしょう。茶会でいただくものの中には入手困難なものもあり、こういった機会でないといただけないものなのでより美味しく感じました。
3 年ぶりの茶会ということで久しぶりに着物を着付けていだき参加しましたが、長い時間にわたる正座の姿勢でとても疲れました。私もお茶を習っている先生方のように、いつの日か着物を着こなし、快適に過ごせる日がくることを願っております。