2023年11月号(第69巻11号)

 みなさん、こんにちは。
 11月に入り、今年もカレンダーを残すところわずかとなりました。11 月初旬の夏日連続から一気に気温が下がり、東京では3年ぶりに木枯らし1 号を観測しました。急に寒くなったので、皆さまもお体に気を付けてお過ごしいただければと思います。
 さて、11月の第3 木曜日と言えば、Beaujolaisnouveau(ボジョレー・ヌーヴォー)の解禁日です。ご存知の方も多いと思いますが、Beaujolais は「ボジョレー地区」、nouveauは「新しい」という意味で、ボジョレー・ヌーヴォーは、「ボジョレー地区でその年に収穫されたブドウを使った新酒のワイン」のことで、元々はその年のブドウの出来をチェックすることが目的とされていました。日本でもすっかり定着しましたが、昨年からの円安の影響もあり、せっかくのお祭りもワインの高騰で買い控えてしまった方も多くいらっしゃったかもしれません。メーカーでは、少しでもコストを抑えるため、到着は遅くなりますが、空輸便を船便に変更したり、瓶を軽量化することでコストを下げているという話を聞きました。
 ワイン造りに重要なブドウですが、その栽培には、年間の平均気温が10 ~ 20℃(ベストは10 ~ 16℃)、ブドウの収穫まで必要な日照時間が約1,000 ~1,500 時間、年間に降る雨の量が約500 ~ 900mmという条件が最適と言われています。
 気になる今年のワインの出来は、世界の天候データツールにより、ボジョレー地区に近いリヨンの天気を見ると、2022 年10月から2023 年9月における平均気温は、約15℃、期間中の降水量は約670mmで、日照データはないものの、まずまずの出来と言えるのではないかということです。
 また、ボジョレー・ヌーヴォーといえば、毎年発表されるキャッチコピーが話題になります。「ボジョレーワイン委員会」の評価をもとに「フランス食品振興会(SOPEXA)」が発表した見解を和訳したものと、その情報をもとに販売業者が分かりやすくつけたものの2種類がありますが、後者が少し大げさな表現になりがちなため、品質を予想するにはSOPEXAを参考にすると良いそうです。ちなみに2022 年は「濃い色調と豊かな香りを備えた、傑出したヴィンテージ」だそうで、今年のキャッチコピーはまだ発表されていませんが、どのようなフレーズなのか楽しみです。
 今年解禁日当日に味わったボジョレー・ヌーヴォーは、アッサンブラージュ(調合)したもので、単体でのワインは味わえませんでしたが、唯一無二のオーダーメイド・ヌーヴォーになります。きっちりとした酸味があり、とれたての果実味を感じました。機会があればボジョレー・ヌーヴォーそのもの自体を味わいたいと思います。

(美濃部 さやか)