2023年5月号(第69巻5号)

 みなさん、こんにちは。
 先月より世界臨床検査通信シリーズの表3の扱いをいったん終了し、今後は本誌内の扱いになったことから、編集後記の掲載場所が変わりました。世界臨床検査通信シリーズは毎月の掲載ではなくなりますが、これからも継続しますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 5月の大型連休は、皆さん何をして過ごされましたでしたでしょうか。制限もなくなり、久しぶりに遠出された方もたくさんいらっしゃったと思います。5月19日(金)~ 5月21日(日)にG7広島サミット2023があり、各国の首脳が広島の原爆死没者慰霊碑、広島平和記念資料館に集まり、急遽ウクライナのゼレンスキー大統領も来日して歴史的な会合となりました。近所では浅草の三社祭り、入谷の小野照崎神社大祭で道路には神輿を担いだ人々で溢れ、日常が戻ってきました。
 さて、連休のあいだに台東区出身の作家である池波正太郎の作品、「仕掛人・藤枝梅安」の映画(続編)を見に行きました。原作は「鬼平犯科帳」、「剣客商売」とともに池波正太郎の三大シリーズとして、長く愛されている作品です。本作品は池波正太郎の生誕100年を記念した企画であり、日本映画放送は、本シリーズを池波先生の世界観や時代劇の伝統をリスペクトしながら「時代劇、新時代。」の代表作、メイド・イン・ジャパンのエンターテイメント作品として、自信をもって国内外、幅広い世代にアピールしていくという力のこもった作品です。エンドロールでは俳優さんの名前を漢字とローマ字が併記されていたところも新しかったです。
 見られた方もいらっしゃるかもしれませんが、あらすじは、表の世界では鍼医者である梅安(豊川悦司)が、裏では元締めからお金をもらい、悪人を仕留めるというお話です。人の命を救う「鍼医」と、人を殺める「仕掛人」がひとりの人間の中にいて、悪いこともするけどその一方で善いこともするという矛盾した存在-池波先生が作品の中に書き続けたテーマになりますが、そこが大きな魅力です。清濁併せ持つというのは、私も好きな言葉のひとつです。原作を読んでいませんが、時代劇を大型スクリーンで見る経験がなかったので、大迫力でした。梅安は大画面の中で存在感があり、彦次郎(片岡愛之助)のバディ感も好演でした。
 さらに映画で良かったのは、作品に出てきた食事です。明日をも知れぬ命の梅安たちが食す料理がスクリーンからとても美味しそうに映りました。調べると、日本料理「分とく山」総料理長の野﨑洋光氏が監修をしており、紹介動画では、映画ではあまり映らなかった井戸水を使った味噌汁、食するシーンはなかった軍鶏鍋など、美味しい料理は俳優さんの良い演技にもつながる、とこだわりのある演出が紹介されていました。
 池波正太郎生誕100 年ということで、機会があれば台東区のイベントに参加し、池波正太郎作品を読みたいと思います。

(美濃部 さやか)