バックナンバー
Back Number
2023年1月号(第69巻1号)
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年が明けてからしばらく経ちましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。国内で新型コロナウイルス感染症の最初の感染者が確認されてから3 年が過ぎましたが、年末年始は行動制限もなかったため、久しぶりに帰省されたり、旅行に行かれたりした方も多かったのではないでしょうか。今年の年明けは関東地方では晴天が続き、気持ちの良い新年を迎えることができました。
さて、年始は毎年ウイーン・フィルニューイヤーコンサートを見るのが恒例ですが、今年は観客数が制限されずに開催されました。指揮者は地元オーストリア出身のフランツ・ウェルザー・メスト氏で、ニューイヤー初登場の曲を大胆に盛り込んだプログラムに注目が集まりました。以前、合唱部に所属していたこともあり、当時ウイーン少年合唱団を聞いていましたが、なんと今年は少年合唱団と共にウイーン少女合唱団も参加しました。少年合唱団は、以前は団員の国籍に制限がありましたが、近年はアジア人を含む団員も見受けられ、時代の流れの変化を感じます。
コンサートと言えば年末に開催された第72 回チャリティーコンサート「 メサイア」( G.F. ヘンデル作曲) に行きました。通称 「藝大メサイア」 と呼ばれ、東京藝術大学により1951 (昭和26) 年12 月に始まってから70 年近くにわたり演奏会が開催されてきました。
「メサイア」 はニューイヤーコンサートに比べて馴染みのない方も多いと思いますが、イエス・キリストの降誕から復活までの生涯を描いた壮大なオラトリオ (聖譚曲) になります。合唱部に所属していた際、数回コーラスで参加しましたが、長時間の練習と管弦楽団の演奏に合わせて歌うのが大変でした。「メサイア」 は、作曲者のヘンデルが慈善のためだけに演奏し、営利目的で曲が使用されることを嫌い、生存中は楽譜の出版を禁じたということを今回初めて知りました。1951 年、朝日新聞厚生文化事業団は、この精神を生かした音楽会で戦災孤児の救済を多くの人に訴え、支援を計画して、合唱団や交響楽団に協力を呼び掛けたところ、東京藝術大学からの協力を得ることができ、演奏会が実現しました。
新型コロナウイルス感染症の影響で2 年間休演を余儀なくされていましたが、3 年ぶりの再開を心待ちにしていた方も多かったと思います。合唱団の方がマスクを着用しながら歌うのは苦しそうでしたが、素晴らしい歌声は健在でした。ソリストをはじめ管弦楽団の演奏も素晴らしかったです。マスクの着用なしに思いっきり歌えるような日が来ることを願います。
本年も皆様にとって良い一年になりますよう心からお祈りいたします。