2022年8月号(第68巻8号)

 先月はモダンメディア通巻800 号記念特集号を無事発行することができ、読者の方、関係者の方より暖かい
お言葉をいただきました。大変ありがとうございました。
 さて、この度編集後記を担当することになりました。長年の読者の方にとっては、担当の交替に驚かれた方もあるかと思います。そして私も会社に入社して約10 年、本誌編集を担当してから4 年近くが経ちましたが、自分がまさか編集後記を書くことになるとは思ってもいませんでした。どこまで続くのかわかりませんが、しばらくお付き合いいただければと思います。
 編集後記というと本誌のテーマについて取り上げて何かコメントをするものが一般的だと思いますが、どのように進めたらよいのか検討中です。少しでも読者と編集室を繋ぐものでありたいと思いますが、初回は迷った
挙句、去年の今頃は何をしていたのかを書こうと思いました。去年の今頃といえば、ちょうどTOKYO 2020 の
オリンピックが終わり、パラリンピック開催を待っている頃でした。オリンピックに何か関わりたいと思い、
数年前にボランティア(City Cast) に応募しました。読者の方の中にも従事された方もいらっしゃるのではないかと思います。皆さんもご存じの通り、新型コロナウイルスのため開催が1 年延期になり、観客を動員するかしないかでボランティアを配属するかしないかの議論もありましたが、無観客の中、ボランティア活動に従事することになりました。しかしながら元々海外からオリンピック観戦に訪れた外国人を案内するというボランティア活動が、無観客ということで活動内容は変更され、1 回目は海外記者の方々のお手伝い、2、3 回目はオリンピックとは直接関係のない東京都からの熱中症対策グッズを配布するというものでした。1 回目の活動では台湾の方からボランティアに参加した理由などインタビューを受けました (残念ながら記事にはなりませんでした)。2、3 回目の活動は、1 日はたまたま雨の寒い日で、熱中症対策グッズを配りました。雨の中、受け取ってもらうのは難しいと思いましたが、活動に参加されていた人々は、運営スタッフから特に指示を受けることもなく、驚くくらいの積極的な姿勢と動きで熱中症対策グッズをあっという間に配り終えました!彼らと話をすると、ボランティア活動がかなり減った中で、このような活動ができることをとても喜び、参加することができて本当に嬉しいという気持ちが伝わってきました (実際にボランティア活動も抽選で当たらないと活動できませんでした)。私のぼんやりとした「 東京でオリンピックを観戦しに来た外国人を案内できたらいいな」 という熱量に対して、彼らの大会に対する熱い思いと行動にすっかり感心しました。今回、直接アスリートと接する機会もある大会運営ボランティアではありませんでしたが、国際オリンピック委員会会長のトーマス・バッハ氏からも、大会を支えていたボランティアに対する賛辞が閉会式で述べられました。
 生きている間に国内でオリンピックが開催される機会はないかもしれませんが、今後オリンピックが開催される度にボランティアで出会った人々を思い出すと思います。

(美濃部 さやか)