2010年7月号(第56巻7号)

3D大流行

浜松医科大学医学部 臨床検査医学 教授 前川 真人

昨年暮れに初の3D 長編映画「アバター」が公開された。今も上映されている。小生は早々に鑑賞したが、ちょっと暗い感じがしたものの十分楽しめた。ちなみにIMAX劇場で見ると明るいそうである。4月現在、3Dの「アリス・イン・ワンダーランド」や「タイタンの戦い」が上映中である。さらに「ハリーポッター」、「ナルニア国物語」「バイオハザード」なども3D上映となる予定であり、また、ルーカス監督が「スターウオーズ」を3Dで撮影という話もあるそうである。
4月下旬、パナソニックから世界初のフルハイビジョン3D対応テレビ3D VIERAが発売された。フレームシーケンシャル方式といって左右交互に再生される映像を、専用シャッターメガネを通して見るのだそうだ。3Dデジカメも開発されており、ユーザー自らが撮影した写真を3Dテレビや3Dパソコンで見ることもできる。学会でも、パワーポイントで3Dの動画を使っての発表もできる時代が来てもおかしくない。また、メガネなしでも3Dに見える技術も期待したい。夏にはソニー、シャープ、東芝など次々と3Dテレビが市場に送り出される。世の中、まさに3Dが大流行である。インフルエンザは大流行しなくてよかった。
医療系においても、画像診断領域では超音波検査、血管造影、CT、MRIなどの3D画像が可能であった。そして、さらにリアルタイムでよりリアルな3Dの画像が開発されてきている。病理組織における代謝産物の分布を色分けする画像処理技術も開発されてきている。性状の違いをコンピューターが認識し判断・加工した情報を元に診療するのは、患者にとってもわかりやすく、医療従事者にとっても便利な代物である。これらが簡単に安価でいろんな分野で使用できる日が待たれる。また、映画やテレビも3Dの先、嗅覚や触覚、圧覚、味覚、温度覚など、4D, 5D, 6Dへの進展が予測されるが、医療における4D以上は、固さなどの物理的性状、物質・分子の化学的性状、将来の予測など時間軸での性状を示すことであろうか。楽しみである。