2008年12月号(第54巻12号)

4人の新人と4つの「じんざい」

愛媛大学医学部附属病院 診療支援部 村瀬 光春

今年4月に4名の新人が就職してきた。その募集条件は、国家資格を有する人には、十分でない6時間契約職員であったが、それでも応募をしてくれた。「国立大学法人愛媛大学へようこそ!」である。それぞれの志望動機は、「病院の理念である“患者に学び、患者に還元する教育・研究・診療”に魅力を感じた」、「高度先進医療機関である病院の一員として地域の方々に安心し、頼っていただけるように貢献したい」、「最先端の医療現場で自己研鑽と研究を実践したい」、「医療人として社会に貢献できるような人材になりたい」などであり、いづれも目を輝かせながら語ってくれたのが印象に残った。現在は、先輩から臨床現場で一人歩きができるように特訓を受けている。ある時、採血の研修風景を見ていると学生実習の時と勝手が違い、手が震える人、冷や汗をかく人、消毒や駆血帯の手順がぎこちない人、様々であった。この新人が将来どのような医療人になるのか楽しみであると思いつつ、数年前に見た日経ビジネスの4 つの「じんざい」記事が思い出された。それは「(1)人財:何でも出来て宝となる人。(2)人材:働きのある役に立つ人。(3)人在:何もせず居るだけの人、(4)人罪:居るだけで罪になる人」であった。新人は、今どの「じんざい」にいるのであろうか?そして「人在」から「人財」、「人材」へ変化するのか、それとも「人罪」へと流れるのであろうか?輝いた目で就職してきた人達が、成長過程で自身の心がけや努力、環境の変化などにより、どのようにでも変わっていくのであろう。先輩としての後輩の育成は大切であり、愛媛大学医学部附属病院の第二期中期目標の中にも「医療人育成に関する目標」がある。「人財または人材」に成長してくれることを期待するものである。還暦を過ぎた先輩からは、いずれの時代になっても基本的に大切な心がけは、コミュニケーションスキルを高めていくことのように思われる。