2007年6月号(第53巻6号)

「臨床検査は空気と同じ! 検査部はもっとアピールを!」

大分大学医学部 臨床検査医学講座 教授 犀川 哲典

学生に講義するときに、「臨床検査は空気みたいなもの」というところから始める。その心は「無くなって初めて有難味が分かる。医療になくてはならないもの」である。現在の医療は、臨床検査無くしては成り立たない。現在45歳以上の先生方のなかには臨床検査の実習を受けずに医師になった方が多いと思う。それより若く、実習を受けた先生方を含めて殆どの医師は、自分が臨床検査を依頼する時に、検査部はその精度・正確度と迅速性を多忙な日常業務の中で実現し、維持していく為にどれほど努力しているか、思いもよらないであろう。

適切な採血管に適切に採血して、血清を分離、あるいはそのまま検査に回し、適切に検査・報告され、パニック値が検出されれば、何とか担当医をつかまえて連絡しようとする。それが24時間なされている。診療科のよう学会で医師が少ないので、なるべく受診を控えてくださいということもない。忙しい中でやりくりして、外来採血時間を繰り上げる努力をしても、診療科医師にはあまり評価されないように見える。しかし我々は着実に診療の向上に向けて貢献しているのである。

我々はもっと自らの仕事・貢献をアピールすべきである。現代は黙っていては評価されない時代である。もちろん評価されることが目的ではなく、診療チームの一員として貢献するのが目的である。しかし評価無くしては次のステップに行けない。いわんや器機更新もない。空気自体は色もなく、においもなく、触れることもない。ましてや音もださない!

しかし「検査部よ、もっと能弁にそして話し上手になれ!アピール上手になれ」