2005年11月号(第51巻11号)

600号記念によせて

東京医科大学 小児科 モダンメディア第5代編集委員長 河島 尚志

モダンメディアの発行は昭和30年にはじまった。小生は昨年より編集委員に加えさせていただいた。私の誕生が昭和32年からしても、この雑誌の歴史が知れる。昨今は歴史のある企業や銀行や組織が世間を騒がせ、安定したものを築くのは大変な時代に入っている。この厳しい流れのなか、このモダンメディアはさてもりっぱなものだと感心するしだいである。なぜか、世の中はニートがあふれ、勤労意欲のない若者が増え、7・5・3(3年以内に会社を辞める人の割合。中卒は7割、高卒は5割、大卒は3割)という時代だそうである。 病院は新研修制度にゆれ、博士号を足かせに大学にしがみつく研修医はなく、医局制度は形骸化し、頼れるところは自分のみかと思いつつ、時代の波に飲み込まれ、なぜか明治維新後の幕臣たちへの慕情がうかんでしまうのは古き時代へのノスタルジーか。モダンメディアが1000号に達したときの日本(モダンメディア)はどうなっているのか想像してみたい。400号先となると33年先となり、2038年である。日本の総人口は6,000~7,000千万当りか、はたまた移民が増え今の人口を維持しているのか不明であるが、人口構成は大きく変わっていそうである。現在の保険制度はおそらく維持できないであろうから、保険診療と自由診療と2本立てとなり、貧富の差により受けられる医療に差ができそうである。検査の世界も個人の裁量が多くなるのか、より多くの情報をモダンメディアも求められるようになり、情報伝達としての役割は今以上に多そうである。 感染症はなくなることはなく、コッホの3原則をみたさない新たな疾患群の特集がされていそうな、はたまた、脳神経領域や癌・悪性腫瘍の特集か、楽しみなものである。33年前の医療行為の間違いの後遺症の多発だけはないものと祈りたい。