2005年11月号(第51巻11号)

スペイン紀行

レオン大聖堂

ペン+水彩(23.8×19.2cm)

まばゆい青空はなにも南スペインだけのものではない。晴れてさえいれば,ここ,レオンでも抜けるような青空が拡がる。レグラ広場から見た大聖堂が,まず白い清楚な印象を与えたのは背後の深いコバルトブルーの空のせいであろう。

レオンの大聖堂は13―14世紀に建てられたスペイン初期ゴシックの傑作である。正面に高くそびえる左右の双塔はのびやかさそのもので,それに挟まれたファサード(正面入口)の上部に巨大なバラ窓がある。天に向って伸びる垂直な方向性を重んじたゴシック精神に一見相反する円形の存在が,ここでは,見事な調和を示している。

しかし,この大聖堂が巡礼路のハイライトとされているのは,むしろ,その内部の120枚を超える壮麗なステンドグラスの美しさによる。ここでもまた,快晴が私たちに倖いして,中に入ると,そこはきらめく花火のような光の洪水であった。フランスのシャルトル大聖堂はシャルトル・ブルーといわれる青を基調にしているが,レオンのステンドグラスは,やはり,南欧的な赤が基調である。とりわけ,13世紀作のバラ窓と後陣の美しさには思わず息をのむ。

スケッチとエッセイ 武田 幹男

昭和7年生まれ
薬学博士元・田辺製薬株式会社 有機化学研究所長 常務取締役
※絵の略歴 定年退職後、 水彩スケッチを始める
山と渓谷社「山のスケッチコンテスト」準特選入賞
2002年、個展を開催 楽風会 所属
※山の略歴 元・関西山岳会会員
現在はネパール・ヒマラヤのトレッキングなどを楽しむ