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2024年7月号(第70巻7号)
わが国は少子化傾向が続き、18歳人口は1992年のピーク時205万人と比べて、2024年は106万人と半減した。その間、大学の数は増加した。大学進学率は上昇し、大学全入学時代を迎えた。その結果、大学の合格水準は低下し、従来なら合格できない成績の入学者が増えている。中学生ほどのイメージで、家庭教師的な指導やサポートが必要となる。向上心やハングリー精神なく、現状打破のための原動力が欠けている。小生も、地元の公立小学校6年間、向上心なく、成績不良であった。現状打破の契機は中学、高校での友人から学んだ貴重な気付きであった。そのお陰で、医学部に進学できた。医学部卒業後、現状打破の経験は続く。内科の研修出張病院の選考では、くじ運悪く25人中23番目で、希望の研修病院は選べなかった。内科として初めて研修医派遣となる水戸赤十字病院には、希望の血液内科はなく、先輩の指導者は不在であった。院内関係部署の調整を踏まえて、一人で血液内科診療を立ち上げた。急性白血病の治療において、大学の初期研修医時代に取り組んだ抗白血病薬の治療効果に関する研究の知見が役立った。その結果、完全寛解率90%と大学病院の約70%を大きく上回る成績で、不治の病でも「歩いて帰れる!」と評判となった。紹介患者が急増し、出張2年目には急性白血病の初診患者数は茨城県で第二位(筑波大学に次ぐ)の年間10名となった。若いときの学びや現状打破の経験は、「人生の肥やし」となり、その後の人生において大いに役立っている。40年を経た現在、臨床検査技師養成学校で学生指導する立場となった。近年の入学者の傾向は、全国と同様である。国家試験の準備では、学生とともに現状の打破を目指し、学習効果を高める工夫を重ねている。定着率向上のためのグループ学習・学生相互学習をはじめ、問題作成の仕組みの理解と良問作成、出題の傾向分析に基づく対策、忘却曲線を踏まえた短期間の反復、基本専門用語の学習システムなど理論と実践を踏まえた教育システムを導入し、成果を挙げている。一人でも多く、「若いときの学び」の大切さを理解し、人生に役立つ現状打破の原動力を身につけることを願う。