通巻800号記念特集号 2022年7月号(第68巻7号)

「モダンメディア」通巻800号によせて

東京大学大学院医学系研究科 臨床病態検査医学
矢冨 裕

 モダンメディアは、微生物学・感染症を中心とした医学・医療、さらには、公衆衛生に関する学術情報の提供を目的に、私が生まれるより前の1955 年に発刊されました。「モダンメディア」の由来は、「近代的(モダン)」と「情報媒体、培地(メディア)」からなり、「最新の情報」、「最新の培地」という二つの意味をもっているとのことです。そして、この度、記念すべき800 号を迎えることになりました。その間、本誌は、歴代の編集委員、そして、栄研化学株式会社事務局の方々のご努力により、一貫して、充実した学術情報を発信し続けてきました。最近でも、例えば、「新型コロナウイルス感染症Up-to-date」シリーズでは、COVID-19に関する最新かつ最高レベルの総説論文が連載されましたが、インターネット等で誤ったものも含まれる情報が氾濫する中、機動性ある月刊学術誌としての本誌の特性・理念がいかんなく発揮されたものと感じています。また、これ
が可能になったのは、これまで本誌が積み上げてきた歴史に対して、執筆者の方々に信頼感を持っていただいたことによると思います。
 人類の歴史は感染症との闘いであると言われますが、おそらく、本誌が発刊された頃のわが国もそうであったと思います。その後、わが国の疾病構造も大きく変わり、死因もがん、アテローム血栓症が中心になりましたが、改めて、感染症の脅威をこの度の新型コロナウイルス感染症で知ることになりました。今後も、新興感染症、AMR対策など、感染症に関わる情報発信はきわめて重要であることは論を俟ちません。 
 私は、縁があって、本誌の編集に携わる機会をいただき、順番ではありますが、この記念すべき号にこの執筆の機会をいただきました。節目節目に過去を振り返り、将来を展望することは重要ですが、今回、そのような機会をいただきました。読者に確かな「最新の情報(モダンメディア)」をお届けしてきた本誌のこれまでの歩みを改めて振り返り、襟を正して、本書の理念を継続させていただき、読者の皆様方にご満足いただけるようにしなくてはいけないと思いました。どうぞ、読者の皆様におかれましては、本誌に対するご意見・アドバイス等ありましたら、事務局にお知らせ下さい。