2020年1月号(第66巻1号)

日本の四季彩巡り (1)

神磯のうねり

撮影地:
茨城県 大洗海岸
大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんじゃ)
初日の出

 関東での正月の風景写真の撮りどころはいくつかあるが、元旦の日の出と鳥居との組み合わせで正月の気分が味わえるのは、茨城県大洗海岸の磯前神社に面した海岸にある神磯の鳥居である。大晦日の除夜の鐘が聞こえる前から、海に突き出た鳥居と初日の出の絶景の位置取りに多くの人が集まり、三脚が並び、私が着いた午前3時には堤防の端の方しか空いている場所がなかった。今年は真正面からの撮影はあきらめ、太陽が出てから鳥居にかかる波と岩にぶつかってはじける波をNDフィルターとスローシャッターを用いて、幻想的に撮れないかと試みた。今日は大潮に近く、堤防間近まで波が来たが、波の大きさはそれほどではなく比較的穏やかな波であった。何十枚か撮る中に、一瞬の波の光芒が現れ、神磯の鳥居に優しい元旦の光を捉えることができた。冬場、磯前神社は太平洋高気圧による晴天の日が多く、鳥居の真ん中から日の出を捉えることができたり、波が荒い日にはしぶきを上げるダイナミックな波も撮ることができ、様々な楽しみ方ができる絶好な場所である。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。