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2019年7月号(第65巻7号)
沖縄の北東約25km、鹿児島県に属する与論島は20世紀末のバブルの時代には東京や大阪から直行の船が運行され、南国の海のバカンスを楽しむ観光客で賑わった。その後本州からの直行便は鹿児島からの便を除いて廃止となり、近年、沖縄や石垣島、宮古島の人気が高まり、与論島への観光客は激減した。しかし、与論島には日本南国のどこにも負けない素晴らしい百合が浜という、干潮時のみにあらわれる浜がある。この浜には長年の風と波の力で浜全体に砂の紋ができ、その美しい姿を撮りたくて梅雨明けの時期にこの地を訪れた。目的の写真が撮れる条件は限られ、潮見表を見ての入念な準備が必要である。太陽が燦々と輝く昼間に砂の紋を撮れる時刻は大潮(特に新月)の干潮時である。秋から春先にかけては干潮が夜となることが多く、昼間の太陽がでている時刻に干潮となるのは晩春から初秋に限られる。この日を予定したのは、梅雨明けの大潮の干潮時と条件が一致したからである。砂の紋は、海面の波紋がきらめく水面下でみられたり、潮が引いて乾いた状態で様々な形を示す。長く平行して続く砂の紋は自然がつくる曲線美を示す世界が広がっている。グラスボートで浜に上がって2時間半余り、左右前後に動いて撮影するのも束の間、引いていた潮は満ち潮にかわり、浮かんでいる浜の面積はどんどん狭くなり、感激に浸った撮影は終わった。
<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長
<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。
専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。
今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。