2019年4月号(第65巻4号)

日本の四季彩巡り(4)

輝ける春の曙

撮影地:
愛媛県
開山公園(ひらきやまこうえん)
伯方島、しまなみ海道

瀬戸内しまなみ海道は本州と四国を結ぶ最も西に位置する道路で、広島県尾道市と愛媛県今治市を結び、瀬戸内海に浮かぶ島々の風景を楽しむことができます。開山公園は愛媛県に属し、しまなみ海道の四国側の伯方島の北西部(標高149m)に位置しており、春先には約1000本の桜が咲き乱れ、頂上の展望台からは伯方・大島大橋、大三島橋、多々羅大橋が一望できます。今まで四国の桜を撮影したことはありませんでしたが、一昨年の4月、「桜の満開が予想される日」、「勤務の都合上、撮影が可能の日」、「天気予報で朝の快晴が期待される日」の、3拍子が揃う、たった1日が幸運にも与えられ、撮影を決行しました。夕方までの勤務を終え、新幹線で岡山に行き、レンタカーでしまなみ海道をわたり、朝2時半に開山公園に到着しました。開山公園のソメイヨシノは満開で、満点の星と月の光が海に輝き、明日の日の出に期待がふくらみます。展望台からの撮影のベストポジションは4-5か所で、そこには風景写真の大御所である三好和義先生、深澤武先生が撮影準備をしていました。朝4時半を過ぎると空が白み、日の出の方向の空が徐々に赤らみを増し、5時45分、瀬戸内海の島々の向こうから日が登り始めました。今まで経験したことのない感動に夢中でシャッターを切りました。満開の桜は朝の光を取り込んでしっとりと輝き、海は空色とオレンジ色に染まり、日本情緒たっぷりの春の曙を撮影することができました。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。