2019年1月号(第65巻1号)

日本の四季彩巡り

輝けるダブルダイヤモンド富士

撮影地:
山梨県
本栖ハイランド

ダイヤモンド富士は富士山の頂上から出る日の出と、頂上に沈む日の入りの風景で、誰しもが撮影してみたい作品である。ダブルダイヤモンド富士とは湖や池に太陽と富士山が映り込む風景のことで、風や波がなく水面が穏やかなフラットな状態でないと撮れない、より難度の高い被写体である。富士山を間近にしてダブルダイヤモンド富士を狙える場所は3ヶ所で、正月早々のトップバッターはここに示す山梨県の本栖湖の近くにある、富士本栖湖リゾートの竜神池に映り込む富士である。気温は氷点下5度、早朝からカメラマンが集まり、池が凍らないように太陽が出はじめる5分前くらいまで、太い何本ものホースを使い放水が行われた。今日は風もほとんどなく、湖面もフラットで緊張感はいやがおうにも高まる。太陽が顔をだす時刻は8時、頂上周辺は赤らみを増し、待っていた瞬間は静かにやってきた。100台くらいのカメラから一斉にシャッターが切られ、静寂は解かれた。太陽は少しずつ上昇し、湖面にははっきりした放射状のダイヤモンドと富士が描かれた。太陽が頂上から顔を出し、全体が頂上から離れ、冷えきった顔面の肌に太陽からの暖かいぬくもりを感じるまでの10分で、ダイヤモンド富士の舞台は終了した。その他の舞台は10月中旬から2月上旬の山中湖でみられる夕陽、4月中旬、静岡県の田貫湖での朝陽で、それとともに見られるダブルダイヤモンド富士は日本人の心に響くすばらしい光景である。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。