2018年9月号(第64巻9号)

日本の四季彩巡り(9)

日本一早い紅葉と紺碧の沼湿原

撮影地:
北海道
大雪山 沼の平

日本の紅葉は9月上旬より北海道の大雪山から始まる。大雪山は10数の頂をもつ山群で紅葉の見所として層雲峡側では、黒岳ロープウェイの上、赤岳の麓の銀泉台、緑岳の麓の大雪高原沼が有名であるが、今回紹介するのは旭岳側の愛別岳、当麻岳の麓にある沼の平である。朝一番の旭岳ロープウェーにのり、山頂駅から北の方向へトラバースすること2時間半、ナナカマドの真っ赤な紅葉が広がる裾合平に着く。そこから川を一つ越えて約1時間で大雪山随一の沼の大湿原が見られる沼の平に着く。この川は水かさが増すと渡れないので、雨の情報もしっかりキャッチしておかなければならない。沼の平からの風景はここが本当に日本かと思う異次元の絶景である。緑のクマザサの山肌の中にダケカンバの紅葉が映え、大小数十の沼がひろがり、晴天にめぐまれると午前中の比較的早い時間には沼の水面はあざやかな紺碧の空を反映して美しい世界を醸し出す。2年前にもここに来たが、のんびり途中の紅葉を楽しんでいたら現地に着いたのが正午をすぎていて、沼の青さのショットが撮れず、今回は少し足を早めてここに到着した。ここからは雄大な旭岳の噴煙と山肌の紅葉、ロープウェイの頂上駅、さらに遠く十勝岳の一部も望め、日本一早い大雪山の紅葉を堪能できるすばらしい世界である。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。