2017年4月号(第63巻4号)

旅先、街角のスナップ(4)

桜色

機材:SONYα7RII
レンズ:Summar f=5cm 1:2

今月の一枚は、JR 市ヶ谷駅前にある釣り堀にて。駅のホームから見下ろせるところにあるので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。意外にも週末には隠れたデートスポットになるようです。
これを撮影したカメラは、いつものライカではなく ソニーのミラーレス一眼現行機種ですが、そこにライカのオールドレンズ(1930年代生まれ)をつけて撮ってみました。ソニーのカメラにライカの、しかも80年以上前の古いレンズがなんでつくの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、世の中には便利なものを開発してくださる方がおられて、ソニーのカメラマウントにライカのレンズを合わせるためのアダプターがいくつも出されているのです(そもそもこのオールドライカレンズを今のライカカメラにつけるためのアダプターも装着しているのですが、混乱するので省きます…)。中にはライカカメラ+レンズ本来の組み合わせでは絶対不可能な、オートフォーカスを可能にしてしまったという最強アダプターまで登場していて、もうびっくりの一言です。最新の撮像素子*で一眼ならではの正確なピントが掴めるというわけで、巷のライカユーザーにはこのソニーのαというカメラが密かに人気です。
もちろん、80年前のレンズの味わいは変わらず堪能することができます。モノクロ写真を撮る前提で作られたレンズは、カラーで撮ると彩度が低く周辺は若干光が落ちて独特の雰囲気を醸し出します。現代のくっきり鮮やかな絵を描くレンズとは対照的ですが、むしろ肩の力が抜けた優しい描写と言ってもいいのではないかと思います。この淡い描写が桜の色合いとぴったり合い、ふたりを桜色に染めていました。

*光をデジタル信号に変えるイメージセンサー。従来のカメラで言うと フィルムに当たります

写真とエッセイ  水地 大輔

<所属>
東京逓信病院 血液内科医長 医学博士

<略歴>
1994年 群馬大学医学部卒業、東京医科歯科大学第一内科入局
2004年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了
2005年 東京医科歯科大学血液内科助手
??? 同年10月より現職

<主な展示>
・個展
「ordinary days」神楽坂 キイトス茶房(2008年)
・主なグループ展
「水」渋谷 ギャラリールデコ(2014年)
「旅ライカ」渋谷 ギャラリールデコ(2015年)他