2012年11月号(第58巻11号)

癒しの風景画(11)

錦秋 (長野県)

910mm×730mm

〇芸術療法
最近、日本芸術療法学会なども発足したようで、絵画を医療に取り入れることが研究されているようです。絵を描かせる事で、認知症が良くなったり、精神疾患の診断・治療に役立ったりします。また、良い絵を見ると心が落ち着いて、癒されることは誰でも感じると思いますが、これをもっと発展させれば、絵で病気を治すこともできるかもしれません。
私は、10年位前から東洋医学の勉強をしていて、アロマオイル、マッサージ、オイル調合法、気の診断法、気の出し方など、多くを学びました。実際にクリニックでは、患者さんには知られないように実践していて、効果をあげていたと思います。ここの東洋医学の先生は「気」を入れた写真を撮って実際の治療に使っていますが、私は絵の中に「気」を入れるように努力しています。なかなか治療効果が出るほどの気は入らないのですが、気持ちが良いと感じるレベルのものは入っているはずです。

〇今月の絵:錦秋
紅葉の写真を撮りに松本から乗鞍方面へ行きました。乗鞍のスーパー林道を走るとあちこちに素晴らしい紅葉が見えてきます。しかし、道が狭いので、車を止めて写真を撮る事が出来ません。橋のところでやっと駐車できて、渓流と紅葉の組み合わせで良い写真が撮れました。この後乗鞍高原と上高地まで行ったのですが、こちらはさらに高地なのでもう紅葉は終了していて残念でした。紅葉の綺麗な時期に旅行を組むのは難しいです。
この絵は、H20年10月、第20回ユザワヤ創作大賞展で銀賞をいただき、翌年のポスターにも掲載していただきました。

多摩川の魚たち:http://homepage3.nifty.com/tamafish/
絵画のギャラリー:http://r-kaiga.suz.cc/

絵とエッセイ 鈴木 孝成

昭和28年1月12日
信州松本にて生を受ける

<職歴>
昭和57年…東京医科大学医学部卒業、放射線医学教室大学院に入学
昭和61年…東京医科大学放射線医学教室助手
平成2年…米国アリゾナ大学メディカルセンター核医学に一年間留学
平成4年…東京医科大学放射線医学教室講師
平成7年…東京医科大学退職、町田市にて、中町クリニックを開業。MRIを導入して地域の画像センターとしての機能を担っていた。
平成23年…中町クリニック閉院。

<絵の略歴>
幼い頃から絵や工作に熱中していた少年だったそうである。小学生の頃は、松本の月草絵画教室に通っていた。中学になって押し付けがましい美術の授業に嫌気がさして、物理部で飛行機ばかりやっていた。高校では、美術室入りびたりの生活となった。主に人物の油絵を描いていて、二科展絵画部に入選。大学は1年浪人後、飛行機好きが高じて東海大学航空宇宙学科に入学。その後も数年は夏休みに高校の美術部へお邪魔して二科展の油絵を製作し、2度目の二科展入選を果たす。その頃にPC-8001が発売されてパソコンブームとなり、ゲーム開発に熱中して絵の事はすっかり忘れる。芸夢狂人のペンネームで、雑誌に記事を載せたり、九十九電気にゲームソフトを卸したり大忙しであった。
東海大学卒業の頃はすっかり不況のまっただなか、希望する航空関係の企業に勤められる可能性も無く、東京医大を受験したところ、奇跡的に入学できて、ここからまた6年間の学生生活が始まった。
東京医大卒業後結婚し、放射線科医局へ入局後は忙しい新米医者の生活になり、絵を描くのは、子供とスケッチをする程度であった。
そして、ふと気づくと、50歳も過ぎ中年真っ只中であった。ひょんなきっかけからリアルな風景画の世界にはまり、現在に至っている。