2009年6月号(第55巻6号)

墨画にのめりこんで

アーチチョーク

菊科の多年草、地中海沿岸が原産、朝鮮アザミとも言う。高さが1.5mくらいになり、頂にアザミに似た大きな紫色の頭花をつける。若い花の花托と萼の肉質部は食用になる。
よく行く神代植物公園には、別々にはなれた2ヵ所に植えられており、とにかく物々しく大きい草で、周りを圧倒して大きくなる。やがて頂に野球のボール位の大きさの塊ができ、その先端に紫色の細管状の花がびっしりアザミのように附く。気持ちのよい青紫色である。何といっても大きいので壮観である。こうした大型のものが墨絵にはもってこいのよい画題として好まれる。向日葵も然りである。
すべての草花が、本当に見ごろなのはいいところ7~10日間である。よかったと思って1週間たって次の週末に出かけると、もう初めて見た時の印象とかなり変わっていることが少なくない。そこで、よいと見たときのイメージをできるだけその時に十分に把握するため、先ずスケッチをする。それも観点を変えて、あちらから一度、こちらから一度とやる。最近は簡単に写真を撮れるようになったので、カメラに収め、帰宅してすぐに焼付けして写真にする。その両方を見ながら墨絵に仕上げる。
墨絵といっても、やはり見た眼に美しい草花には、絵の具で色をつけるといっそう絵が引き立つ。色を加えた墨絵を彩墨画と呼ぶ人がある。

絵とエッセイ 藤本 吉秀

大正15年(昭和元年)生まれ。昭和の年号がそのまま年齢になった。

<職歴:内分泌外科医>
もと東京女子医大内分泌外科教授。1987~1989の2年間国際内分泌外科学会会長を務めた。
今は癌研有明病院、日本赤十字社医療センター、調布東山病院で甲状腺診療をしている。

<絵の略歴>
昭和59年、八丈島から贈られた黄色のシンピジウムがとても美しいので色紙に描いてから、季節の草花を色紙に描くのが趣味となった。平成10年、柏市で甲状腺外科検討会がひらかれた時、会場の近くの画廊で色紙の個展をした。
その後、松下黄沙(Group 82)について墨絵三昧。
2人展(平成14年)、12人展(平成16年)をはじめ、春、初夏、秋にそれぞれ各種グループ展に出展。

<運動>
ずっと以前のことになるが、学生時代、一高、東大を通してボートを漕ぎ、昭和24、25年8人で漕ぐエイトで連続全日本選手権制覇。

はじめの1年間は、「色紙に季節の草花を描く」をテーマにして出します。
次の1年間は、「墨画にのめりこんで」として、風景、植物、仏像など何でも取り上げて描きます。