2007年11月号(第53巻11号)

ヒマラヤの詩―山と花に魅せられて

チョルテン(仏塔)

カトマンドゥからヘリで40分、標高2,320mのドウムジェに着きました。そこは今回のトレッキング中唯一の村落で、トレッキングの出発点です。既にガイド、シェルパ、ポーター達が来ていて、私たちがヘリから降りるのを待ち、荷物を運んでくれました。山岳写真家のF氏と山の会のメンバー4人、首都カトマンドゥの北東に聳えるガネッシュヒマール連峰の写真を撮りに来ました。ガネッシュとはよく知られているように、ヒンドゥー教の神であり、その神像は象頭をもっています。山名に宗教上の神の名をあてることは、インドやネパールでは珍しいことではなく、単純に神の住まいと考えられたものといえます。また、水晶の産地としても知られており、ガネッシュヒマール産のものは、5,000m以上の険しい高山から算出されるかなりの貴重品だそうです。

ヘリで到着すると、村人たちが大勢出てきて、見学かたがた出迎えてくれました。テントは一人ずつで、カメラアシスタントとして個人シェルパを各自一人雇い、ついでに身の回り品も一切持って貰い、写真を撮るとき以外は手ぶらで歩くという極めて贅沢な大名登山です。私のカメラアシスタントは、英語は勿論、日本語が話せるし、他にもフランス語やドイツ語も話せると言っていました。あとで名詞を貰ったら、トレッキングガイドでした。日本に帰ってきてメール交換をして、その後シャクナゲトレッキングにガイドとしてお願いし、今後も一緒に行く予定にしています。

ネパールやチベットでは、村の出入口や広場、峠などには五色のタルチョと共にマニ石やチョルテンを良く見かけます。チョルテンとは仏塔を意味するチベット語です。もともとは、高僧の遺物を納めた塔で、亡くなった高僧を供養したり、自然の神々に捧げるために建てられたそうです。タルチョとは祈祷旗で、旗には経文が印刷されています。また、チョルテンの足下にはマニ石、平たい石には仏像の絵や、「オン マニ ペメ フム」(阿弥陀仏の意)という祈りの文字が刻み込まれているそうです。寺院やチョルテンの周りを時計回りに歩いて回るのがチベット仏教徒の習慣。私たちも左側を歩くようにと注意されました。そのチョルテンの足下から、ヒマルチュリ(7,893m)を遠望して撮りました。タルチョも実は上部にあるのですが、カットしました。

(撮影:2004 . 11 ネパール、ガネッシュ・ヒマール)

写真とエッセイ 後藤 はるみ

1938年 東京に生まれる
1963年 東京理科大学理学部卒業後、代々木病院検査室勤務を経て東京保健会・病体生理研究所、研究開発室勤務
1978年 東京四谷の現代写真研究所に第3期生として、基礎科、本科1、本科2、専攻科、研究科で7年間写真を学ぶ。
1984年 写真家・竹内敏信氏に師事、現在に至る
1999年 病体生理研究所定年退職

・日本山岳会所属 ・エーデルワイスクラブ会員
・全日本山岳写真協会 会員
・写真展「視点」に3回入選
・全日本山岳写真協会主催の写真展に毎年出品
・その他、ドイフォトプラザ等でグループ展多数