2007年7月号(第53巻7号)

ヒマラヤの詩―山と花に魅せられて

黄色いケシ

今回のトレッキングは、山のクラブの仲間たちのみで計画をたてました。参加者の中にネパール語の堪能な方がいて、ネパールでの旅行には特に支障はありません。参加者は女性ばかり、それも昔のお嬢さんたちの7人で、装備・医療・食事・記録等をそれぞれ分担します。また現地スタッフのサーダー(ガイド頭)は日本語が話せるし、お互いの意思疎通ができるので安心です。旅行会社のツアーに参加する場合は、途中で体調が悪くなった時などにも計画を変更できず、一人だけ残るか、帰らなければならない場合もあり得ますが、そんな心配も要りません。

今回のキッチンコック(食事担当スタッフ)は、日本食も得意で、そろそろネパール食が飽きた頃に、天ぷらうどんが昼食に出てきたのには皆感激しました。またなかなかのハンサムで、お母様達の間でも大もてでした。サーダーは現地の出身で、民家の間を通る度にお呼ばれしてお酒を振る舞われるのか、近寄るといつもお酒の臭いがしていました。他のシェルパ達は皆10代、20代の青年で、時々行き交うスンダリデデイ(きれいな娘さんの意)達と楽しげに話を交わしています。ダンスへのお誘いでもしていたのかなと後で気がつきました。

やがて川の近くに一軒の民家が現れ、今夜はその近くがテント場です。夕食後にはその民家に招待されて、行ってみると、スタッフたちも集まっていました。途中で行き交った娘さんたちも加わり、歌と踊りの宴が催されます。ネパールの歌はテンポが早くてリズム感があります。次は「ジャパニーズ」と請われて、仕方なく「月が出た出た~・・」と始めたものの、とてもネパールの歌と踊りには太刀打ちできません。途中までつき合いましたが、遅くまで歌と踊りが続いていたようです。本当にネパール人は皆、歌と踊りが好きでそして上手です。

写真の黄色いケシは、5月でご紹介したサウスレアと同じ場所のロールワリン・ヒマールの標高約3,700m付近で撮影しました。亜高山帯の林縁や高山帯の岩の多い斜面に生え、花茎は太くて直立し、高さ1~2m、円錐花序は花茎の上部3分の2を占め、多数の花が着きます。花は直径6~10cm。花弁は4枚つき、黄色、ほぼ円形で長さ3~5cm。川に沿った草原状の丘にはその他ヤナギラン、黄色いサクラソウ、紫色の豆科の花、マンテマや未知の花が多数咲いており、標高が高いために写真を撮るのに息が切れてしまいました。

(撮影:1999.7 ネパール, ロールワリン山群)

写真とエッセイ 後藤 はるみ

1938年 東京に生まれる
1963年 東京理科大学理学部卒業後、代々木病院検査室勤務を経て東京保健会・病体生理研究所、研究開発室勤務
1978年 東京四谷の現代写真研究所に第3期生として、基礎科、本科1、本科2、専攻科、研究科で7年間写真を学ぶ。
1984年 写真家・竹内敏信氏に師事、現在に至る
1999年 病体生理研究所定年退職

・日本山岳会所属 ・エーデルワイスクラブ会員
・全日本山岳写真協会 会員
・写真展「視点」に3回入選
・全日本山岳写真協会主催の写真展に毎年出品
・その他、ドイフォトプラザ等でグループ展多数