2006年2月号(第52巻2号)

心に残る、山と花

霧氷

霧氷は、氷点下に冷やされた水蒸気や霧の粒が樹木についてできる氷のことで、樹木には真っ白い華が咲いたようになります。あたり一面、木々の枝に霧氷がついて真っ白になり、特に青空に映えるとそれは見事なもので、自然とカメラを向けたくなります。朝方、きれいに霧氷がついても、天気が良ければ、あっさりと溶けて消えてしまうこともあり、見事な霧氷に出会えるのはなかなか難しいものです。

数年前にこの霧氷の写真が撮りたくて、冬の上高地にわざわざ出掛けて3日間待ちましたが、条件が整わなかったのか見ることが出来ませんでした。また北八ヶ岳の横岳、戸隠高原、長野の高峰高原などでは、霧氷は見られたものの、吹雪いていたり、曇っていたりと天候にめぐまれず、作品になるような写真は撮れませんでした。やはり写真の世界もまた一期一会なのかもしれません。

ここは岩手山(標高は2,038m)の稜線、犬倉岳と大松倉山の鞍部に湧く網張温泉。網張温泉スキー場に、山の仲間とスキーに行き、最終地点のリフトを降りたとき、この美しい霧氷に巡り合いました。いつもカメラを持ち歩いていたのが幸いして、この一瞬をとらえることが出来ました。

写真とエッセイ 後藤 はるみ

1938年 東京に生まれる
1963年 東京理科大学理学部卒業後、代々木病院検査室勤務を経て東京保健会・病体生理研究所、研究開発室勤務
1978年 東京四谷の現代写真研究所に第3期生として、基礎科、本科1、本科2、専攻科、研究科で7年間写真を学ぶ。
1984年 写真家・竹内敏信氏に師事、現在に至る
1999年 病体生理研究所定年退職

・日本山岳会所属 ・エーデルワイスクラブ会員
・全日本山岳写真協会 会員
・写真展「視点」に3回入選
・全日本山岳写真協会主催の写真展に毎年出品
・その他、ドイフォトプラザ等でグループ展多数