2005年6月号(第51巻6号)

スペイン紀行

サンタンデールにて

ペン+水彩(33.5×25.0cm)

サンタンデールはカンタブリア海に面した天然の良港で,かつては,アラゴン王国の首都として栄えた。その後,スペイン王室の避暑地となっていたが,1941年に大火災で壊滅的な被害を受けた。今では,計画的な再建によって近代的で洗練された大リゾート地となっている。そのせいで,劇場,大きなホテル,カジノ,整備された海水浴場などがあって,いずれも私にとってあまり好ましくない風景である。

このような時には,何気ない街の一隅を描くに限るので,海辺を歩いて行くと,プエルトチコという広いマリーナに出た。色とりどりのヨットがびっしりと置かれていて,ビルを背景に白い帆柱が林立しているのが面白い。

今日は自由行動で時間が充分あって,このような複雑な対象を描くのに丁度良かった。

スケッチとエッセイ 武田 幹男

昭和7年生まれ
薬学博士元・田辺製薬株式会社 有機化学研究所長 常務取締役
※絵の略歴 定年退職後、 水彩スケッチを始める
山と渓谷社「山のスケッチコンテスト」準特選入賞
2002年、個展を開催 楽風会 所属
※山の略歴 元・関西山岳会会員
現在はネパール・ヒマラヤのトレッキングなどを楽しむ