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2026年10月号(第72巻10号)
ノビタキは、スズメほどの大きさの地味な小鳥です。北海道の夏には、むしろスズメより多いのではないかと思えるほどあちこちで見かけますが、神奈川では渡りの途中に立ち寄る秋のこの時期にしか出会うことができません。
この写真は、相模原市田名の望地地区で撮影しました。望地地区は段丘崖の斜面林と、相模川に挟まれた自然豊かな里山です。段丘崖から湧き出す清水は、広大な水田を潤すだけでなく、多くの水辺の生き物を育んでいます。初夏にはゲンジボタルが舞い、秋にはトンボの群れが飛び交う、そんな日本の原風景が、今もここには残されています。
望地には多くの野鳥も集まります。私はここで、ベニマシコやホオアカ、更にはオオタカの狩りなど、忘れ難い光景に何度も出会っています。
なかでもノビタキは、地味な姿でありながら、秋の田んぼや草原によく映える人気の高い鳥です。この時期になると、稲架(はざ)掛けの竹や秋草の先にちょこんと止まる姿を撮ろうと、バーダーたちが集まってきます。毎年この場所で顔を合わせる仲間も多く、「ご無沙汰していました」と互いの近況を語り合い、昔話に花を咲かせるのも、この季節ならではの楽しみです。
ノビタキは二、三週間ほど滞在すると、この地を離れて再び南へ向かいます。ところが何年か前、一羽だけずいぶん長く居残っていた個体がいました。「よほど居心地がいいのだろうか」と仲間たちと話したことを覚えていますが、さすがに冬の気配が濃くなり、気温が下がる頃には姿を消してしまいました。
鳥の個体認識能力は非常に高く、個体レベルで仲間を識別しているようです。もしかすると、そのノビタキも、顔馴染みの到着を待っていたのかもしれません。無事に合流し、連れ立って南へ旅立っていく、そんな光景をつい思い浮かべたくなります。
<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー
<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人工血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。
写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。
撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。