2026年5月号(第72巻5号)

鳥棲む空にて

アマサギ

撮影地:座間市(神奈川県)

 アマサギの体長は約50センチほどで、コサギよりもさらに小さく、シラサギ類の中では最小クラスの鳥です。夏になると頭部や頸部、背の羽毛が橙黄色に変わります。この色合いが亜麻色に見えることから、アマサギという名が付いたとされています。
 相模川にも、田植え前の代掻きの時期になると、アマサギが飛来してきます。田んぼの土をトラクターでかき混ぜると、土の中から虫やカエルが飛び出します。それを目当てに、アマサギたちはトラクターの周りへ集まり、せわしなく餌を探します。こうした光景は、かつて相模川流域の初夏を象徴する風物詩のひとつでした。
 しかし、ここ数年はアマサギの姿をなかなか確認できなくなりました。このエッセイを書くにあたり、環境省の自然環境保全基礎調査(全国鳥類繁殖分布調査・2016~2021年)を確認したところ、アマサギは「減少した種」に分類されていました。90 年代と比較すると、指標上では個体数が60%以上減少しているとされていました。どうりで見かけなくなったわけです。
 アマサギだけではありません。ツバメやムクドリ、スズメなど、農地をはじめとする開けた環境を利用する鳥たちの総個体数も減少しているとされています。その背景には、水田を含む農地面積の減少が関わっているように思います。実際、この10 年ほどで、日本の水田面積は約20~25 万ヘクタール減少しました。割合にすると1 割弱で、「大幅に減っている」と表現しても差し支えない水準です。
 野菜の高騰や令和の米騒動など、農産物の生産量低下は社会問題となっています。その要因は温暖化や高齢化など多岐にわたり、単純に農地を元に戻せば解決する話ではないのでしょう。それでも、簡単な答えがないからこそ、アマサギのいた風景に思いを寄せながら、日本の農業が健全さを取り戻す未来を静かに待ちたいと思います。

写真とエッセイ  佐藤 秀樹

<所属>
獣医師 日本毒性病理学会認定病理学専門家
テルモ(株)R&Dテクニカルアドバイザー

<プロフィール>
テルモ湘南センター 元主席研究員
テルモバイオリサーチセンター 元センター長
人工血管、ステント、イメージングデバイスなど、種々の医療機器の研究開発に従事。

写真は20代の初めの頃、当時お世話になっていた国立衛生研究所の室長に薦められて。モチーフは主に風景と鳥。
記憶している最初のカメラは、キャノンEOSシリーズの1号機、EOS650。
現在使っているカメラはNIKONで、購入したのはつい最近のこと。
それまで使っていたカメラとレンズ資産を手放して購入し、現在は望遠レンズ購入を検討している。

撮影のモットーとしては、デジタルカメラで撮影の際は、多少ピントが甘くても、その瞬間を逃さずシャッターを切ることが大事だと思っている。