2023年3月号(第69巻3号)

日本の四季彩巡り(3)

菜の花畑といすみ鉄道

撮影地:
千葉県
いすみ鉄道
菜の花

 3 月下旬、千葉県、房総半島の中部から東南部の里山は菜の花や桜の花が咲き、春爛漫の世界になる。養老渓谷近くの上総中野駅から太平洋に面する大原駅を結ぶ、いすみ鉄道の途中の大多喜駅の周辺には多くの菜の花が咲いている。大多喜駅の構内に入る手前の踏切にたつと、大原行きの上りの電車がまっすぐの線路をこちらに向かってゆっくり進んでくる。線路の周りは一面、菜の花畑で、ずっと遠くまで連続して咲いている。手前の菜の花を少しぼかし、向こうからまっすぐに向かってくる電車の姿を、やや遠方に焦点を合わせて撮るようにした。電車が無言でこちらに向かっている姿は、なにか怖い感じがする。いすみ鉄道は桜トンネルから顔を出す電車や、鉄道写真家の中井精也さんが愛してやまない菜の花が脇に咲く遮断機のない踏切など、ほかにも見所がたくさんあり、春の訪れを感じることができる素晴らしい世界である。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。