2022年5月号(第68巻5号)

日本の四季彩巡り(5)

イカ漁の夕暮れと棚田

撮影地:
山口県
東後畑棚田
イカ漁の漁り火

 山口県長門市の西約20km のところに、日本海に浮かぶイカ釣り漁船の漁火と夕陽が映える棚田が見られる撮影スポットがある。ここは東後畑棚田とよばれ「日本の棚田百選」に選ばれている。晴れた日の夕暮れ、日本海に沈む夕陽が段々畑を照らす光景は美しいが、5 月中旬から6 月上旬にかけての夕暮れ時に、岸からイカ釣り漁船が一隻一隻と沖合に出て、夕陽と入れ替わるように漁り火を照らす光景はまさに感激のシーンである。
ベストの撮影タイムは空が暗くなる前、日没後のマジックアワーである。この時期は、田んぼの水張りを終えて田植えが始まる前で、ちょうどこの頃、イカが産卵のために海岸に近寄ってくる時期であり、すべてのタイミングが一致してこのような光景に巡り会える。ここには今まで3 回ほど訪れているが、風が強くて船が出られない時や、沖に出る船が7~8 隻と少ない時もあり、今回やっと20 数隻が出航し、念願の撮影を果たすことができた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。