2022年4月号(第68巻4号)

日本の四季彩巡り(4)

錦帯橋の春夜の妖艶

撮影地:
山口県
岩国市
錦帯橋の夜桜

 錦帯橋は山口県岩国市にある日本を代表する木造橋である。1673 年、当時の藩主によって架けられたが、残念ながらすぐに流失した。その後改良を加えて再建された橋は300 年あまりその威容を保ったが、岩国市を襲った台風によって流失、現在の橋は今から60 年前に再建されたものである。目玉の形をした木造の5 つの橋は実に古風で魅力的で、春には橋の下を流れる錦川の畔に桜が咲き、タイムスリップしたような情緒満点の風情になる。
 今日のポイントは、夕刻にライトアップした橋と桜をどのように表現するかである。ライトの色は何色もあり、時間と共に変化し、橋の色はブルーになったり、ピンク色になったり、桜の色も七変化し、なかなか落ちついた雰囲気の色合いになるタイミングが難しい。
木造の橋の色が黄金色になり、桜がピンク色に染まるわずかな時間を狙って撮影した。これぞ、春爛漫の錦帯橋の夜という瞬間を捉えることができた。 

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。