2021年12月号(第67巻12号)

日本の四季彩巡り(12)

雨晴海岸の毛荒らしと立山連峰

撮影地:
富山県
高岡市
雨晴海岸

 12 月末の御用納めが終わってから新幹線で富山に向かい、ホテルで一泊し、翌朝早く富山湾の氷見の近くにある雨晴(あめはらし)海岸を目指した。ここは万葉ゆかりの景勝地で、岩礁、白い砂浜、青松が続き、背景には雪を被った標高3,000m 級の立山連峰の山々がそびえている。万葉の歌人、大伴家持はこの地の風景をこよなく愛し、多くの歌を詠んでいる。世界中で3,000m級の山々が海越しに見えるところは数か所しかないといわれ、特にこの場所では、11 ~ 2 月の冬場になると、海の温度が冷えて靄となる‘毛荒らし’が出現する。この日は気温もマイナス10 度で、天気は快晴。東の空を見ると、私が大好きな剱岳の山頂から朝陽が昇り、海には毛荒らしが立っている。右の海岸線の上の小高い丘には氷見方面に向かう電車がカーブを曲がろうとしており、電車の胴体が朝陽で輝く瞬間のシャッターチャンスを捉えた。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。