2021年11月号(第67巻11号)

日本の四季彩巡り(11)

紅葉木々のシルエット

撮影地:
京都
柳谷観音・楊谷寺
上書院

 京都西山の長岡京市の山奥に、楊谷寺、通称、柳谷観音という平安時代より眼病に悩む人々に信仰されてきた西山浄土宗の寺があり、最近は紅葉の隠れた名所として脚光を浴びている。四季を通じて花のある時期には、手を清めるための手水舎に、花を敷き詰める花手水(はなちょうず)を置く先駆寺としても知られている。柳谷観音の一番奥のやや高台に、上書院という天皇家や公家や限られた客のみを案内していた特別な間があり、この上書院から眺める名勝庭園・浄土苑の紅葉の美しい姿に感動する。特に早朝、上書院に朝日の光が差し込み始めて2 時間程、真っ赤な絨毯には、紅葉の木々のシルエットが映り、独特な光景を楽しめる。この姿に巡り会えるのは晴天であること、太陽の光の角度が満遍なく絨毯の間に届いている時間帯のみである。

写真とエッセイ  北川 泰久

<所属>
東海大学名誉教授・東海大学付属八王子病院顧問
医療法人 泰仁会 理事長

<プロフィル>
昭和49年慶應義塾大学医学部を卒業し、後藤文男教授の神経内科教室に入局、米国べーラー大学留学後、川崎市立川崎病院に勤務、膠原病と脳卒中の研究を行い、平成4年より東海大学に赴任、東海大学大磯病院副院長を歴任し、平成15年より東海大学神経内科教授、平成17年より付属八王子病院病院長を9年間つとめ平成29年より東海大学名誉教授、付属八王子病院顧問、医療法人泰仁会理事長、現在に至る。

専門は脳卒中、頭痛、生活習慣病、認知症。日本医師会学術企画委員会副委員長をつとめ、日本医師会雑誌の編集に長年携わっている。写真歴は約15年、各季節の旬を盛り込んだ風景写真のカレンダーを11年間作成し続け、平成26年には春夏秋冬の風景写真130余りを盛り込んだ写真集、憧憬を発表。

今まで使用してきたカメラはペンタックスとニコン、現在はニコン850Dを主に使用している。